著者
中村 秀俊 岩佐 一生 寺井 健太郎 伊達 政道 呉 美枝 北岡 治子
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.98-102, 2017-02-20 (Released:2017-02-28)
参考文献数
18

症例は78歳男性.X-18年に糖尿病と診断され経口血糖降下薬開始.X-4年10月よりメトホルミン750 mgより開始したところ,X年6月頃よりHb 11.5 g/dL,MCV 109 fLと大球性貧血を認めた.同年11月,ビタミンB12 50 pg/mL未満と低値を示し,メトホルミン投与によるビタミンB12欠乏に基づく巨赤芽球性貧血と診断し,メトホルミン中止およびメコバラミン投与により速やかに改善した.メトホルミンによるビタミンB12欠乏の原因として,回腸におけるビタミンB12-内因子複合体のカルシウム依存的吸収の阻害作用などが報告されている.昨今ビグアナイド薬は,2型糖尿病治療において多用されているが,投与開始後遅発性にかつ徐々に進行する大球性貧血をきたす例もあることより,特に高用量を投与する場合は長期にわたり血液像を観察する必要があると考える.
著者
吉田 麻美 高松 順太 吉田 滋 北岡 治子 増井 義一 大澤 仲昭
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.249-256, 1998-09-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
20

肥満を伴うインスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) 患者19例に対し, 運動療法が可能な9例では, 160Calorie/日の有酸素運動 (速歩) 療法を6ヵ月間施行, 実施困難な身体状況にある11例には, 防已黄耆湯を6ヵ月間投与した。運動療法は内臓脂肪型肥満に有効とされているが, 運動療法群では, 治療前後で, CTスキャンを用い測定した内臓脂肪面積と皮下脂肪面積の比 (V/S比) が0.77±0.26から0.65±0.30へ低下したが, 肥満度及び血糖, 脂質についても有意な改善をみなかった。一方, 防已黄耆湯投与群では, 血清コレステロール値が197±31mg/dlから180±19mg/dl(P<0.01)へ, またV/S比が0.84±0.56から0.64±0.30 (P<0.05) へと有意に改善, 血糖値も改善傾向であった。今回の結果から, 防已黄耆湯は内臓脂肪型肥満さらに動脈硬化予防に対し有用である可能性が示唆された。
著者
北岡 治子 馬嶋 素子 北沢 明人 磯谷 治彦 池上 陽一 間島 毅彦 坂根 貞樹 武田 京子 高松 順太 大澤 仲昭
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.865-871, 1991-10-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
13
被引用文献数
3

糖尿病患者におけるこむらがえりの頻度を明らかにするとともに, 糖尿病性合併症, 血中電解質濃度などの臨床所見との関連性を検討した. 健常者206例, 糖尿病患者200例を対象にアンケート調査を施行した結果,(1) 毎日一度以上こむらがえりがおこるものは, 健常者ではみられないのに対し, 糖尿病患者では4.5%に見られた. (2) 週に一度以上のこむらがえりは健常者では1.9%, 糖尿病患者では11.5%にみられ, 有意に高頻度を示した. (3) 臨床所見との関連性の検討の結果, 糖尿病患者におけるこむらがえりは, 女性, インスリン治療者に多い傾向がみられた. (4) 末梢神経障害の高度のものより正常のものに多く, 網膜症, 腎症とは一定の関係はみられなかった. (5) こむらがえりの頻発群と稀発群では, 血中電解質濃度に差はみられなかった. 以上より糖尿病患者では健常者に比べこむらがえりが高頻度に認められることが示された.