著者
三原 一優 磯部 直彦 大川 秀郎 宮本 純之
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.307-316, 1981-08-20

フェニトロチオン, ダイアジノンおよびメチルパラチオンの中毒量を雌雄ラットに1回もしくはフェニトロチオンの中毒量を連続経口投与したのち, 肝ミトコンドリアの呼吸機能および肝ミクロゾームの薬物代謝酵素活性に及ぼす影響をしらべた.250mg/kgのフェニトロチオン投与によりミトコンドリアの呼吸調節率が投与24時間後にわずかに低下したが, ADP/O比およびATPase活性に対する影響はみられなかった.ミクロゾームのチトクロームP-450含量およびアニリン水酸化, アミノピリンN-脱メチル化両活性は, いずれの有機リン化合物によっても投与1時間から72時間にかけて著しく低下した.しかしながら, このようなミトコンドリアとミクロゾームへの影響はいずれも投与72時間から1週間後には元のレベルにまで回復し, 可逆的であることが判明した.また, フェニトロチオンの5mg/kg, 25mg/kgを12週間連続投与した場合にはミクロゾームの薬物代謝酵素系に対する影響はみられなかった.