著者
礒 玲子 飯島 節
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.10-20, 2016-03-31

目的:高齢者介護分野における医療機関より在宅への移行時を中心とした多職種・諸機関間連携へのクライアントの参加や意思決定の現状と課題を,連携の展開過程に沿って明らかにする. 対象:医療機関または介護保険事業所に勤務する様々な専門職者と利用者本人・家族の合計23名を対象とした. 方法:クライアントの連携への参加の現状と課題について半構造化面接を行い,グラウンデッド・セオリーアプローチに基づき分析した. 結果:クライアントの連携への参加や意思決定を困難にしている連携の阻害要因として,『連携目的の不一致』,『連携対象についての認識不足』,『情報共有困難』および『レベル・態度・姿勢』の4要因が示され,専門職者とクライアントとの間の情報の非対称が認められた. 結論:クライアントの連携への参加と主体的な意思決定を促すためには,専門職者との間の情報の非対称を克服する取り組みを行うことが最も重要であり,連携におけるクライアントの位置づけや参加について専門職者側の意識を高めてゆくことが必要である.