著者
祁 華
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.99-103, 2019 (Released:2019-12-25)
参考文献数
22

近視は世界的に流行し,特に東アジアでは深刻な事態になっている。近視の進行は,青少年の時期で速く,この時期のコントロールが最も重要であると言われている。ここでは近視進行抑制の手段として,非侵襲で扱いやすい眼鏡レンズ,DIMS(Defocus Incorporated Multiple Segments)レンズを紹介する。DIMSレンズはレンズ上に多数のMD(Myopic Defocus)セグメントを配置し,屈折異常補正とMDを同時に実現するレンズである。香港理工大学のチームが行った2年間のTrialでは,DIMSレンズを掛けるグループは単焦点レンズを掛けるグループより,近視度数の進行が52%,眼軸長の伸長が62%少ない,という報告がなされている。
著者
曽根原 寿明 井澤 康哲 祁 華 神津 和磨 向山 浩行 広田 雅和 遠藤 高生 神田 寛行 森本 壮 不二門 尚
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.114-121, 2017 (Released:2017-12-29)
参考文献数
20

眼疲労を定量化するための方法として, 自然な両眼視下での測定を利用した報告はあまりされていない。そこで我々は, 18名の被験者に視負荷として市販の携帯型3Dゲーム機を30分間使用させ, 両眼波面センサーを用いて視負荷前後での調節および輻湊応答の変化を調べた。測定時の固視標の動きは, 奥行き方向に反復する定屈折駆動刺激(±0.25D/秒)およびステップ状刺激(2.0/0.2D)を与えた。定屈折の反復刺激において, 輻湊と開散の潜時が視負荷後に統計的に有意に長くなることがわかった(P<0.05)。ステップ状刺激では, 調節弛緩応答量の80%から10%に変化するのに要する時間が視負荷後に長くなった(P<0.05)。以上より, 両眼波面センサーによって測定された調節と輻湊の応答は, 眼の疲労の客観的評価に適用できることが示唆され, とくに年齢の影響を受けにくい輻湊は中高年者への適用に有望であると考えられる。