著者
不二門 尚
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.19-22, 2011 (Released:2019-11-22)
参考文献数
9
被引用文献数
1

3D映像を見ているときの輻湊と調節の関係を,両眼同時に測定できる波面センサーを用いて測定すると,Step状に飛び出しの3D映像を提示した場合には,調節は一過的に近視化した後,また画面上に戻り,輻湊と調節が解離することが示された。3D映像4時間視聴後の視機能の変化を118名の正常被検者で検討すると,一過的な近視化,縮瞳,内斜傾向が有意に認められ,副交感神経系優位の変化と考えられた。立体視の感受性期は6歳くらいまでであることが報告されている。3D映像は,両眼の像を偏光眼鏡または液晶シャッター眼鏡で分離する方法をとっているため,両眼視が不安定な小児に対しては,慎重な対応が必要である。
著者
不二門 尚
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.19-25, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
10

3D映像は、映像技術の進歩と疲れにくいコンテンツの開発により、映画を中心に普及する可能性が高い。3D映像の普及と共に、日常生活で問題なくても、輻湊不全や、代償不全の斜位など何らかの眼科的素因のある人は、眼精疲労や複視を訴える場合があることに、注意する必要がある。6歳位までの小児は立体視の発達過程にあり、調節性内斜視など、両眼視が障害されやすい素因のある場合、両眼を分離して見る3D映像の観賞は、注意する必要がある。また、立体視の弱い人が、3D映像社会でハンディキャップにならないような働きかけも必要と思われる。
著者
不二門 尚 洲崎 朝樹
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.89-94, 2019 (Released:2019-12-25)
参考文献数
19

軸外収差抑制のコンセプトの累進多焦点コンタクトレンズ(MFCL),および近視性の網膜像のボケを誘発する設計の同心円型多焦点MFCLが,光学的な近視進行抑制法として注目されている。CLは眼鏡と比較して,眼球運動の影響を受けないため,網膜像を理論通りにコントロールできる利点がある。MFCLの近視進行抑制率は,30%程度と報告されている。累進低加入度の累進MFCLを用いたパイロット臨床研究で,近視進行抑制が可能であることが示されたが,その機構は軸外収差理論では説明できず,調節反応量は少ないことから,調節努力軽減の機構が働いている可能性が示唆された。近年被写界深度を深めるコンセプト(extended depth of field; EDOF)のコンタクトレンズでも,臨床研究で近視進行抑制の効果が示されており,調節努力を少なくする設計のMFCLが近視抑制効果をもたらしている可能性がある。
著者
相川 慎也 芦原 貴司 天野 晃 有末 伊織 安藤 譲二 伊井 仁志 出江 紳一 伊東 保志 稲田 慎 井上 雅仁 今井 健 岩下 篤司 上村 和紀 内野 詠一郎 宇野 友貴 江村 拓人 大内田 研宙 大城 理 太田 淳 太田 岳 大谷 智仁 大家 渓 岡 崇史 岡崎 哲三 岡本 和也 岡山 慶太 小倉 正恒 小山 大介 海住 太郎 片山 統裕 勝田 稔三 加藤 雄樹 加納 慎一郎 鎌倉 令 亀田 成司 河添 悦昌 河野 喬仁 紀ノ定 保臣 木村 映善 木村 真之 粂 直人 藏富 壮留 黒田 知宏 小島 諒介 小西 有人 此内 緑 小林 哲生 坂田 泰史 朔 啓太 篠原 一彦 白記 達也 代田 悠一郎 杉山 治 鈴木 隆文 鈴木 英夫 外海 洋平 高橋 宏和 田代 洋行 田村 寛 寺澤 靖雄 飛松 省三 戸伏 倫之 中沢 一雄 中村 大輔 西川 拓也 西本 伸志 野村 泰伸 羽山 陽介 原口 亮 日比野 浩 平木 秀輔 平野 諒司 深山 理 稲岡 秀検 堀江 亮太 松村 泰志 松本 繁巳 溝手 勇 向井 正和 牟田口 淳 門司 恵介 百瀬 桂子 八木 哲也 柳原 一照 山口 陽平 山田 直生 山本 希美子 湯本 真人 横田 慎一郎 吉原 博幸 江藤 正俊 大城 理 岡山 慶太 川田 徹 紀ノ岡 正博 黒田 知宏 坂田 泰史 杉町 勝 中沢 一雄 中島 一樹 成瀬 恵治 橋爪 誠 原口 亮 平田 雅之 福岡 豊 不二門 尚 村田 正治 守本 祐司 横澤 宏一 吉田 正樹 和田 成生
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Dictionary.1, pp.1-603, 2022 (Released:2022-03-31)
著者
神田 寛行 不二門 尚
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.83, no.11, pp.988-991, 2017-11-05 (Released:2017-11-05)
参考文献数
9
著者
神田 寛行 不二門 尚
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.202-206, 2012-12-15 (Released:2013-03-10)
参考文献数
15
被引用文献数
2
著者
曽根原 寿明 井澤 康哲 祁 華 神津 和磨 向山 浩行 広田 雅和 遠藤 高生 神田 寛行 森本 壮 不二門 尚
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.114-121, 2017 (Released:2017-12-29)
参考文献数
20

眼疲労を定量化するための方法として, 自然な両眼視下での測定を利用した報告はあまりされていない。そこで我々は, 18名の被験者に視負荷として市販の携帯型3Dゲーム機を30分間使用させ, 両眼波面センサーを用いて視負荷前後での調節および輻湊応答の変化を調べた。測定時の固視標の動きは, 奥行き方向に反復する定屈折駆動刺激(±0.25D/秒)およびステップ状刺激(2.0/0.2D)を与えた。定屈折の反復刺激において, 輻湊と開散の潜時が視負荷後に統計的に有意に長くなることがわかった(P<0.05)。ステップ状刺激では, 調節弛緩応答量の80%から10%に変化するのに要する時間が視負荷後に長くなった(P<0.05)。以上より, 両眼波面センサーによって測定された調節と輻湊の応答は, 眼の疲労の客観的評価に適用できることが示唆され, とくに年齢の影響を受けにくい輻湊は中高年者への適用に有望であると考えられる。
著者
三村 治 河原 正明 清澤 源弘 中馬 秀樹 不二門 尚 山本 紘子 若倉 雅登
出版者
日本眼科学会
雑誌
日本眼科學会雜誌 (ISSN:00290203)
巻号頁・発行日
vol.115, no.7, pp.617-628, 2011-07-10
参考文献数
65
被引用文献数
2
著者
日下 俊次 大島 佑介 不二門 尚 西信 良嗣
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

未熟児網膜症モデルマウスとコントロールマウスの遺伝子発現をリアルタイムPCR法によって包括的に検討した結果、炎症性サイトカインの発現上昇は網膜新生血管の発現前から消退後に至るまで上昇しており、一方、新生血管に関連する血管内皮細胞増殖因子、アンギオポイエチン-2に代表されるサイトカインは新生血管の発現の直前に上昇し、新生血管の消退とともに発現が低下していることが判明した。
著者
不二門 尚 日下 俊次 大鳥 安正 細畠 淳 三好 智満 前田 直之
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

(1)網膜色素変性モデル動物に対する、経角膜電気刺激の神経保護効果。経角膜電気刺激が視細胞に対して神経保護効果があるかどうか、遺伝的に視細胞が変性するRCSラットを用いて検討した。網膜電位図(ERG)を用いて、電気生理学的に検討したところ、生後3週から1週間に1回計4回電気刺激を行った群の網膜は、電気刺激していない群の網膜に比べて、光に対する反応が大きく、網膜機能の低下が遅延していた。また、視細胞の核が存在する外顆粒層(ONL)の厚みを電気刺激群と非電気刺激群で比較した結果、電気刺激群の網膜のONL厚は、有意に厚かった。以上の結果から、経角膜電気刺激は視細胞に対しても神経保護効果があることがわかった。(2)視神経症の症例に対する経角膜電気刺激の臨床研究。経角膜電気刺激治療を行った、虚血性視神経症12例13眼、外傷性視神経症7例7眼、視神経萎縮群8例8眼に対して、擬似光覚(phosphene)閾値、電気刺激に対する瞳孔反応の起こる閾値電流量(縮瞳閾値)、視野の面積(V/4)および視力の関係を検討した。その結果、中心部におよぶphosphene閾値は視力と相関し、周辺および中心phosphene閾値は縮瞳閾値と相関した。周辺phosphene閾値は視野の面積と相関した。また、視力の改善と中心phosphene閾値は相関した。これらの事実から、視力には中心phosphene閾値に反映される中心部の網膜機能が関係し、視野の広さには、周辺phosphene閾値に反映される周辺部の網膜の機能が反映されることを示された。また、他覚的な指標として、縮瞳閾値はphosphene閾値と相関することから、自覚的応答が不明確な場合、瞳孔反応検査は有用と考えられた。