著者
金森 晃 土信田 文隆 町田 充 高田 哲秀 中嶋 真一 神 康之 守屋 達美 的場 清和 藤田 芳邦 矢島 義忠
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.147-150, 2000-02-28 (Released:2011-03-02)
参考文献数
10

49歳, 男. 罹病歴17年の重症の糖尿病性トリオパシーを合併した2型糖尿病. 足のしびれ感を癒す目的で両足趾および足蹠部に市販温湿布薬を貼付して車の運転を長時間行った. その後, 貼付部に水疱を形成し, 感染を併発して両足壊疽をきたした. 高血糖是正, 抗生物質投与, 免荷, デブリードマンなどの保存的治療により右足壊疽は治癒したが, 左V趾は中足骨切断術を余儀なくされた. 用いられた温湿布薬にはカプサイシンと同様の作用をもつノニル酸ワニリルアミドが比較的高濃度に含有されている. 本症例では温湿布薬が的確に使用されなかったために, ノニル酸ワニリルアミドによる接触皮膚炎が惹起され, さらに糖尿病性神経障害が存在するために皮膚刺激症状の認知が遅れ水疱形成をきたしたと考えられた, カプサイシンは糖尿病性表在性疼痛に対する治療効果が認められているが, 使用法を誤まると足皮膚潰瘍などの糖尿病性足病変の誘因になる可能性があり注意を要する.
著者
玉川 洋 米山 克也 菅野 信洋 神 康之 笠原 彰夫 山本 裕司 高梨 吉則
出版者
横浜市立大学
雑誌
横濱醫學 (ISSN:03727726)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.145-149, 2005-03-31
被引用文献数
1

症例は14歳,男児.開腹歴を含め,既往歴に特記すべきものなし.下痢,腹痛を主訴に来院し,抗生剤投与で一時軽快したが,その後腹部膨満感出現し,緊急入院となった.入院時血液検査所見で炎症反応の異常高値とCT検査上絞拒性イレウスの所見を認めたため緊急開腹手術を施行した.術中所見は回腸から約60cm口側にメッケル憩室を認め,そこに付着したmesodiverticular bandにより回腸が内ヘルニアを形成していた.小腸は広範囲に壊死しており,小腸部分切除を行った.mesodiverticular bandによるイレウスは稀で,術前診断は困難であるため手術歴のないイレウスの原因として考慮すべきであると考えられた.