著者
神山 努
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.45-57, 2017-03-31 (Released:2017-10-06)
参考文献数
63

本研究は、米国において2010年から2016年までに公表されたSWPBISの効果に関する研究と、SWPBISの実施・維持の要因調査に関する研究を俯瞰し、我が国においてSWPBISの導入を検討する際の研究上、実践上の課題について提案することを目的とした。SWPBISの効果研究は20本が該当し、高等学校など特定の学校におけるSWPBISの実施方法を検討した研究や、対象学校数の多い大規模な効果研究が報告されていること、独立変数や従属変数の評価に特定の指標が用いられていることなどが示された。SWPBISの実施・維持に関する研究は8本が該当し、質問紙調査や聞き取り調査により、校内チームの機能や管理職の支援など、詳細に検討した研究が報告されていた。我が国でSWPBISの研究を進める上での課題として、我が国の学校種別でのSWPBIS実施の促進手続きの検討、独立変数や従属変数の指標の開発、SWPBISの実施を促す環境の整備について考察した。
著者
神山 努 上野 茜 野呂 文行
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.361-375, 2011 (Released:2013-09-14)
参考文献数
90
被引用文献数
1 1

本研究は、発達障害である自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害を対象とした育児方法に対する保護者支援の先行研究において、保護者の負担がどの程度考慮されたかを検討することを目的とした。方法に関しては、2005年から2011年までの保護者支援の実践研究64本について、対象者の生活年齢および障害種別の標的行動、実施されたアセスメント、保護者の負担に関する記述の有無について分析した。その結果、保護者の負担に関する記述はいずれも半数以下にとどまり、保護者に関してや、標的行動・介入手続きの選定に関するアセスメントの実施も少なかった。今後の課題として、保護者の負担を考慮する必要があり、介入手続きの学習や実施維持において保護者にかかる負担を軽減するために、保護者の特性や、標的行動介入手続きの選定に関するアセスメントを検討する必要を指摘した。