- 著者
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中澤 菜穂子
神山 千穂
齊藤 修
大黒 俊哉
武内 和彦
- 出版者
- 公益社団法人 土木学会
- 雑誌
- 土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
- 巻号頁・発行日
- vol.70, no.6, pp.II_141-II_150, 2014 (Released:2015-02-28)
- 参考文献数
- 43
- 被引用文献数
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天然のキノコ・山菜は特用林産物として古くから利用され,その採取活動は様々な生態系サービスと関係している.これらの林産物は市場を介さない自家消費が多く,これまで定量的な価値評価はあまり行われてこなかった.本研究は,石川県七尾市の釶打地区を対象地に聞き取り調査を実施し,採取活動の実態を定量的に明らかにすることで,それらの経済的,文化的価値の評価を試みた.市場価格から金銭換算した結果,天然のキノコ・山菜による供給サービスは比較的高い経済的価値を有していることがわかった.また,文化的サービスの観点からは,採取活動は,その贈答や食文化の継承を通して,地区内外の交流を深めるという社会的意義を担っていること,採取行動と加工処理の過程においても,経験や技術に裏付けられた文化的な価値を有することが示された.