著者
村松 恵多 河合 佑亮 恒川 祐太 大森 鮎子 神戸 美樹 山田 幸子 髙井 亜希 眞野 惠好 西田 修
出版者
一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会
雑誌
日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 (ISSN:1884233X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.Supplement, pp.S1-S8, 2022 (Released:2022-06-06)
参考文献数
15

目的:人工呼吸器管理下で長時間腹臥位療法を受ける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症患者に対する包括的褥瘡予防策の効果、褥瘡発生のリスク因子を検証した。 方法:人工呼吸器管理下で1日あたり16時間以上の腹臥位療法を受けたCOVID-19重症患者を対象に、後ろ向き観察研究を行った。包括的褥瘡予防策の効果検証のため、顔面へのドライポリマー製マットと皮膚接触部位への体圧分散ウレタンフォーム製マットなどを使用した介入前期と、それに加えて顔面への保護用ヘルメットシステムと前胸部への低反発弾性ウレタンフォームを追加した介入後期を比較した。リスク因子の検証のため、褥瘡発生の有無で比較した。 結果:介入前期と後期の対象者は各8名であり、Intensive Care Unit(ICU)在室中の褥瘡発生率は75%vs 50%であった。褥瘡発生部位は頬骨部位が3件vs 5件で最も多く、顎部位は2件vs 0件、仙骨部位は1件vs 1件、踵部位は0件vs 0件であった。褥瘡発生患者ではICU在室中の最大Sequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコアが高かった(中央値19.5 vs 14.0、p=0.034)。 結論:本研究の包括的褥瘡予防策は、顔面の褥瘡発生率の改善には影響しない可能性が示された。リスク因子として最大SOFAスコアが明らかになった。