著者
神田 將志 日高 優一郎
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.105-114, 2022-01-07 (Released:2022-01-07)
参考文献数
9

本研究では,岡山県小田郡矢掛町におけるアルベルゴ・ディフーゾ(Albergo Diffuso,以下ADと表記)の発展プロセスを考察する。ADは,町の中に点在する空き家を一体化した宿として活用してエリア全体を活性化する試みである。人口減少が進む中で,地方活性化の手法として注目を集めており,日本では矢掛町が初めてADタウンに認定されている。本研究は,矢掛町の事例では,当初からADを念頭に活動を進めたわけでなく,活動がADとの邂逅を生み出したことを示す。当事者が,当座の「町ごとホテル」の名のもと,当地の伝統的な関係性を紐解きながらアクターを生成し,生成した各アクターが資源をやりくりして実践を積み重ねた結果,ADとの邂逅を生み出している。事業が「AD」と再定義されたことは,当事者たちの当地の魅力や活動対象エリアの認識に変化を生み出し,更なる可能性を呼び込んでいる。本研究は,矢掛町のAD認定に至る軌跡を辿り,その意義を考察する。
著者
神田 將志
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18824544)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.42-48, 2023-11-28 (Released:2023-11-28)
参考文献数
12

サブスクリプション型コンテンツ配信サービス,特に急拡大する定額制動画配信(Subscription Video on Demand)サービスにおける消費者行動の分析については,計画的行動理論をはじめとする消費者行動モデルに基づく研究が行われている。しかしながら,調査時点における消費者の将来的な行動意図の推計にとどまっている。そこで,本研究では,行動意図に加え,実際の行動までを実測データとするシングルソースデータを用い,共分散構造分析による消費者の意思決定プロセスの分析を試みる。実際の行動変化の観測データから,行動意図,および行動を因子変数化し,計画的行動理論による消費者行動モデルのマーケティングへの応用の有効性について検討する。