著者
神田 道子 旭 洋一郎 天野 マキ 細井 洋子
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、女性の社会参画を推進すると観点に立ち、教育、福祉、医療領域の女性リーダーについて、調査に基づいてジェンダー関係の差別の構造について分析した。その際、コンパラブル・ワース、組織のタイプ、所属するスペース、スペースの中で権力関係を伴う位置=プレイスの概念を用いてアプローチした。調査は、公立小中学校の校長・教頭、福祉施設の施設長、公立病院の看護部長・婦長、コントロールグループとして地方自治体の管理職者、組織のタイプが異なる社会活動リーダー(女性問題、教育、学習、福祉活動)を対象に行った。分析を通して以下の知見が得られた。1.所属するスペースのジェンダー構成によって人事、マネージメントなどによる影響力に差があり、女性比率が高い小学校、病院などは強い影響力をもつ。しかし、これらはコンパラブル・ワースが問題になる領域であり、差別の構造の複雑さが明らかになった。2.ジェンダーの意識、女性問題認識などでは、職業リーダーと社会活動リーダーとの間に差がみられた。「学校」「病院」リーダーは性役割の固定化につながる意識がみられた。参画可能性があり、影響力をもつプレイスに座ったとしても、それが男女平等を質的に進める参画には結びつかない場合もあることを示している。3.リーダーの生活を情報資源、人間関係資源、時間資源の所有状況などから分析し、その生活を明らかにした。