- 著者
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鈴木 克尚
神谷 典男
西條 幸志
高岡 伸次
栗田 智代
大野 雄三
北本 憲永
- 出版者
- The Japanese Society of Extra-Corporeal Technology in Medicine
- 雑誌
- 体外循環技術 = The journal of extra-corporeal technology (ISSN:09122664)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.4, pp.22-25, 2001-12-01
- 被引用文献数
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7
【要旨】今回,MUF終了後に再循環を行い20分経過した頃,人工肺入口側の圧が上昇し,回路接続が突然はずれた症例を経験した。人工肺の入口部は血液塊で詰まり,静脈リザーバのフィルタ表面および液面と動脈フィルタにも血液塊が大量に形成されていた。MUF終了後から待機循環中の血液塊形成が起こるまで,どのように変化するかヘパリン濃度,使用材料・構造,置換液,血液塊の解析,残血の成分より凝固系,蛋白,血液ガスについて検証した。再現実験を行った結果,血液塊はechinocyte化した赤血球の凝集であった。ヘパリンやヘパリンコーティング材料の使用は無効であった。MUFの残血は赤血球が減少しており,緩衝作用が弱まっていることに加え置換液にアルカリ化剤の含まれたものを使用したことなどから,人工肺によるガス交換で容易にpHの上昇を来したと推測された。MUF施行後の残血成分は通常と異なり,pHが上昇しやすい環境にあり,ガス流量を戻し忘れた際など,容易に凝集することが明らかとなった。