著者
神谷 典男 北本 憲永 西條 幸志 高岡 伸次 鈴木 克尚 鈴木 智代 高柳 綾子 小出 昌秋 野地 智 打田 俊司 石橋 信之
出版者
The Japanese Society of Extra-Corporeal Technology in Medicine
雑誌
体外循環技術 = The journal of extra-corporeal technology (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.65-68, 2002-03-01
被引用文献数
2

【要旨】近年,無輸血開心術は広く行われ,体外循環の血液希釈の影響を最小限に努めるために,各施設では様々な試みがなされている。今回我々は,回路径を可能な限り細くし,回路長の見直しと当施設で考案した体外循環回路組み込みシート(衛生シート)を成人用回路にも応用し,開放および閉鎖型の両回路の低充填化を試みた。その結果,2000年7月までの開放型回路充填量はリザーバレベル200mlの時56kg以上で1,100ml,55kg以下で985mlであったのが,開放型回路では56kg以上で722ml,55kg以下で635mlとなり,症例によっては更に術野側回路を短くすることで565mlとなった。また,閉鎖型回路の充填量はリザーバレベル100mlで780mlとなった。低充填化には閉鎖型の方が理想的と考えていたが,実際は気泡除去能力の高い材料が必要で選択が限られてしまい,結果的に開放型の方が低充填量となった。現段階において低充填化には開放型の方が最適と考えられた。
著者
鈴木 克尚 神谷 典男 西條 幸志 高岡 伸次 栗田 智代 大野 雄三 北本 憲永
出版者
The Japanese Society of Extra-Corporeal Technology in Medicine
雑誌
体外循環技術 = The journal of extra-corporeal technology (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.22-25, 2001-12-01
被引用文献数
7

【要旨】今回,MUF終了後に再循環を行い20分経過した頃,人工肺入口側の圧が上昇し,回路接続が突然はずれた症例を経験した。人工肺の入口部は血液塊で詰まり,静脈リザーバのフィルタ表面および液面と動脈フィルタにも血液塊が大量に形成されていた。MUF終了後から待機循環中の血液塊形成が起こるまで,どのように変化するかヘパリン濃度,使用材料・構造,置換液,血液塊の解析,残血の成分より凝固系,蛋白,血液ガスについて検証した。再現実験を行った結果,血液塊はechinocyte化した赤血球の凝集であった。ヘパリンやヘパリンコーティング材料の使用は無効であった。MUFの残血は赤血球が減少しており,緩衝作用が弱まっていることに加え置換液にアルカリ化剤の含まれたものを使用したことなどから,人工肺によるガス交換で容易にpHの上昇を来したと推測された。MUF施行後の残血成分は通常と異なり,pHが上昇しやすい環境にあり,ガス流量を戻し忘れた際など,容易に凝集することが明らかとなった。