著者
神谷 政幸
出版者
一般社団法人 日本在宅薬学会
雑誌
在宅薬学 (ISSN:2188658X)
巻号頁・発行日
pp.2021.5009, (Released:2021-03-12)
参考文献数
5

要旨: 「薬剤師法」は,薬剤師全般の職務・資格などに関して規定する法律である.その成立までの道程には,「医制」の公布から続く,“薬剤師がその職能を十分に発揮できるようにし薬事の向上に貢献したい”という先人たちの熱い想いと取り組みがあった.それを振り返ることで,令和元年12月に公布となった「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)」(薬機法)および「薬剤師法」の改正を基に,現在の薬剤師のおかれている状況と求められていることを再確認すると,そこには,薬物治療において常に薬剤師が関わることで,これまで以上に国民の健康増進に寄与することが求められる姿があると考える.
著者
神谷 政幸
出版者
一般社団法人 日本在宅薬学会
雑誌
在宅薬学 (ISSN:2188658X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.3-8, 2023 (Released:2023-04-28)
参考文献数
6

要旨:薬価基準には,2つの性格がある.1つが医療保険において使用できる医薬品の品目表としての性格,そしてもう1つがその医薬品の価格表としての性格である.我が国では国民医療費の総額は伸び続けており,その中で薬剤比率は22%前後で推移している.そのため,常に医療保険制度と財源を議論する際に,医薬品の価格に関する問題がついてまわることになる.2016年の秋から2017年末にかけて検討が行われた「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」においては,“「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」を両立し,国民が恩恵を受ける「国民負担の軽減」と「医療の質の向上」を実現する観点から,薬価制度の抜本改革に向け,PDCAを重視しつつ,以下のとおり取り組む”と記載されており,今後も引き続きの議論がされていくことになる.海外各国の薬価制度も参考にしながら,日本の医療保険制度に即しつつ医薬品提供体制を確保した薬価制度を検討していかなければならない.
著者
神谷 政幸
出版者
一般社団法人 日本在宅薬学会
雑誌
在宅薬学 (ISSN:2188658X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.3-10, 2019 (Released:2019-05-20)
参考文献数
7

団塊の世代が後期高齢者となる2025 年に向けて,国は地域包括ケアシステムの構築を推し進めている.そのなかで薬局は医療提供施設として健康サポート機能を発揮することが期待されている.2018 年年末に公表された薬機法改正に伴う「とりまとめ(案)」において,薬剤師は調剤時のみならず,薬剤の服用期間を通じて,over-the-counter(OTC)医薬品等を含む必要な服薬状況の把握や薬学的知見に基づく指導を行う義務があることを明確化するべきと記載されている.しかしながら,健康食品やOTC 医薬品に関する薬剤師への信頼は低く,かつ健康被害が起こっている状況を鑑みると,体調変化を継続して把握できる体制の構築が急がれる.そして,それは疾患発症後の薬物治療においても継続して行うことで,医療を質的に向上させることが可能になる.それを地域で連携して行うためには,患者やさまざまな医療職,介護職にその薬局がもつ機能を積極的に提示していくことが求められる.社会の変化に伴うニーズに応えていくことで,薬局・薬剤師が地域医療に大きく貢献する未来につながると信じている.