著者
Baco Sudirman 原田 宏 福原 利一
出版者
Warm Regional Society of Animal Science, Japan
雑誌
西日本畜産学会報 (ISSN:09143459)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.40-45, 1997

黒毛和種登録牛である11, 522組の母娘牛の体型測定値とアニマルモデルBLUP法を用いて, 娘牛およびその両親の予測育種価を計算し, 実際の育種牛群内における体型測定形質の遺伝能力が母牛から娘牛へどのように伝達発現されるかについて検討した。分析対象とした体型測定形質は, 登録検査時に測定される体高, 胸囲, 尻長, かん幅および体重である。母牛より平均5.5年後に生まれた娘牛の測定時年齢は20.5ケ月でははうしより1.3ケ月若く, 6形質の平均測定値もそれぞれ娘牛が小さかった。とくに体高が1.2cm, 体重が34.9kg娘牛が小さかったのは, これら体型が1世代でかなり顕著に変化することが示唆されて興味深かった。6形質に関する娘牛の育種価予測値と母牛の育種価予測値との単相関及び順位相関は, それぞれ0.161~0.290及び0.168~0.283と比較的低いものであった。そこで母牛と娘牛の育種価予測値をA, B, Cの3レベルに区分して, 各レベルの母牛ごとに育種価予測値がトップテンの種雄牛の交配による場合と, 全種雄牛の交配による場合について, 生産された娘牛の各レベルごとの割合を求めた。その結果, 生産されたAレベル (3SD以上) の育種価予測値を持つ娘牛の割合はトップテンの種雄牛の交配によって確実に向上することが確認された。以上の結果, 当然のことながら育種価予測値が高い母牛も当該形質の育種価予測値の高い種雄牛を交配されることによって, 初めて育種効果が期待され, かつ種牛として価値が評価されるべきであることが示唆された。