著者
中村 朋朗 山根 寛司 山本 圭彦 浦辺 幸夫 福原 千史
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.25-27, 2015-03-31 (Released:2018-02-14)

「目的」高齢者の姿勢変化で最も多いのは脊柱後弯変形である。変形に伴い背筋筋力が低下し、日常生活動作に支障をきたす傾向がある。現在、高齢者の体幹伸展筋力エクササイズの効果を検証した研究はいくつかあるが、長期的に効果をみた研究は少ない。 「方法」本研究では、平均年齢 76.6±5. 5歳の高齢者女性21名を円背群10名と非円背群11名に分け、6ヶ月間の体幹伸展筋力エクササイズを行い、エクササイズ開始時と6カ月後の体幹伸展筋力を測定し、変化を観察した。 「結果」円背群・非円背群共に体幹伸展筋力に向上を認めた。 「結論」脊柱後弯変形を呈する高齢者でも体幹伸展筋力エクササイズにより、長期的に筋力が向上することが示唆された。
著者
山本 圭彦 坂光 徹彦 堀内 賢 中川 朋美 林下 知惠 福原 千史 浦辺 幸夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0796, 2006 (Released:2006-04-29)

【目的】 骨粗鬆症などによる高齢者の円背姿勢に対し、運動療法の効果を確かめることは重要である。本研究の目的は運動療法介入により円背姿勢が変化するかを明らかにすることである。【方法】 対象は、65歳以上の高齢者20名とした。安静立位にて明らかに円背姿勢を呈しているものをエクササイズ群(Ex群)、円背姿勢を呈していない高齢者をコントロール群(C群)として10名ずつ2群に分けた。年齢はEx群(男性2名、女性8名)で80.9±5.2歳、C群(男性4名、女性6名)で79.4±5.5歳であった。Ex群は20分の運動療法を週に2回の頻度で6ヶ月間、筋力増強エクササイズと脊椎の可動性を向上するエクササイズを行った。筋力増強エクササイズは腹臥位での上体反らし運動、脊椎の可動性を向上するエクササイズは腹臥位でのOn hands push upによる上体反らし運動を実施した。胸椎と腰椎の彎曲角度の測定にはSpinal Mouse(Idiag AG,Switzerland)を用いた。測定肢位は立位と腹臥位での安静位および最大体幹伸展位の3肢位とした。胸椎と腰椎の彎曲角度はそれぞれの各椎体間がなす角度の和を胸椎角と腰椎角として求めた。さらに前傾姿勢の指標としてTh1とS1を結ぶ線と床からの垂線がなす角度(全体傾斜角)を求めた。脊椎の可動性は腹臥位での安静位からのOn hands push upによる最大体幹伸展位で求めた。体幹伸展筋力の測定はGT-350(OG技研)を用いて体重比で求めた。統計学的分析にはEx群とC群の比較とエクササイズ前後の比較にはwilcoxon順位符号検定を用いた。エクササイズによる立位姿勢の角度変化と脊椎の可動性および体幹伸展筋力の変化量をそれぞれPearsonの相関係数を用いた。【結果】 6ヵ月後C群では胸椎角で1.5°、腰椎角で1.7°、全体傾斜角で0.5°屈曲方向へ変化した。Ex群は胸椎角で11.4°腰椎角で10.4°、全体傾斜角で1.6°伸展方向へ変化した(p<0.05)。Ex群はすべての角度でC群と比べ有意に角度変化を認めた(p<0.05)。エクササイズ前の脊椎の可動性が大きい対象ほどエクササイズにより立位姿勢は大きく変化した(r=0.55、p<0.05)。体幹伸展筋力はC群で0.32N/kg減少し、Ex群で0.84N/kg増加した(p<0.05)。エクササイズによる体幹伸展筋力が増加するほど立位姿勢は大きく変化した。(r=0.61、p<0.05)。【考察】 6ヶ月間の運動療法において脊椎の伸展は促され、前傾姿勢も改善された。視診および本人の自覚から十分に円背姿勢の改善を認め運動療法の効果を確かめることができた。安静立位の脊椎を伸展させるには脊椎の可動性を向上させ、体幹伸展筋力を増加させることが重要であると考えられた。【まとめ】 今回、運動療法介入により円背姿勢が改善するかを検討した。6ヶ月間のエクササイズにより脊椎は伸展し、円背姿勢が改善された。
著者
中川 朋美 山本 圭彦 坂光 徹彦 堀内 賢 林下 智惠 福原 千史 浦辺 幸夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0352, 2006 (Released:2006-04-29)

【目的】 我々は円背姿勢に対する背筋エクササイズ(以下、Ex)として、腹臥位での上体反らし運動を行ってきた。しかし、この運動が十分に行えない高齢者も多い。本研究の目的は椅座位で行えるExを実施し、円背姿勢が変化するかを検討することで、このような方法が運動療法として有効であるかを確認することである。【方法】 対象は本研究の趣旨に賛同が得られた外来通院中の女性患者26名とし、明らかに座位姿勢で円背が認められる円背群13名と、円背を認めない非円背群13名に分けた。平均年齢は円背群で80.3歳、非円背群で74.3歳、平均身長は円背群で148.1cm、非円背群で148.8cmだった。Exは両上肢を大腿部の上に置き、上肢で支えながら円背をできるだけ修正させた姿勢(修正椅座位)を10分間保持させた。その際、なるべく上肢に頼らないよう指示した。Ex前に安静椅座位と修正椅座位での座高と脊柱の彎曲角度を、Ex後に安静椅座位での座高と脊柱の彎曲の角度を測定した。座高はメジャーで、脊柱彎曲はSpinal Mouse(Idiag AG,Switzerland)を用いて測定し、Th1~S1の各椎体間がなす角度の和を算出した。【結果】 円背群のEx前の座高の平均(±SD)は73.8±2.5cm、非円背群は75.6±1.7cm、円背群の脊柱全体の彎曲角度は66.5±17.5°、非円背群は22.3±12.4°であった。円背群の修正椅座位での座高は79.7±1.3cm、非円背群は77.9±1.6cm、円背群の脊柱全体の彎曲角度は29.5±7.5°、非円背群は14.2±9.7°であった。修正椅座位での円背群の座高は安静座位に比べて平均5.9±2.3cm増加し(p<0.01)、非円背群は2.3±1.5cm増加した(p<0.01)。円背群の脊柱の彎曲角度は-33.8±18.7°(p<0.01)、非円背群は-8.8±10.6°(p<0.01)の減少がみられた。座高の変化と脊柱の彎曲角度の変化量に有意な相関が認められた(r=0.42,p<0.05)。Ex後に、座高は平均1.2±0.8cm増加し、脊柱の彎曲角度は-6.2±0.7°になりEx前とEx後の間に有意差が認められた(p<0.05)。【考察】 円背姿勢は骨自体の変形、靭帯や関節包などの静的支持組織の変化、脊柱起立筋などの動的支持組織の弱化など様々な因子が影響している(金子,2005)。今回Ex後に円背姿勢が改善したことから、静的支持組織を補助するだけの背筋筋力が向上すれば円背姿勢を修正できる可能性があると考え、座位でのExも円背姿勢の改善に対し有効であるとことが推測された。しかし、この効果が持続するかを検証することが必要である。【まとめ】 今回、椅座位にて簡便に行えるEx方法を実施し円背姿勢の改善効果を検討した。Ex後は座高が高くなり、円背姿勢の改善効果があると考えられた。
著者
山本 圭彦 坂光 徹彦 堀内 賢 中川 朋美 林下 知惠 福原 千史 浦辺 幸夫
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.A0796-A0796, 2006

【目的】 骨粗鬆症などによる高齢者の円背姿勢に対し、運動療法の効果を確かめることは重要である。本研究の目的は運動療法介入により円背姿勢が変化するかを明らかにすることである。<BR>【方法】 対象は、65歳以上の高齢者20名とした。安静立位にて明らかに円背姿勢を呈しているものをエクササイズ群(Ex群)、円背姿勢を呈していない高齢者をコントロール群(C群)として10名ずつ2群に分けた。年齢はEx群(男性2名、女性8名)で80.9±5.2歳、C群(男性4名、女性6名)で79.4±5.5歳であった。Ex群は20分の運動療法を週に2回の頻度で6ヶ月間、筋力増強エクササイズと脊椎の可動性を向上するエクササイズを行った。筋力増強エクササイズは腹臥位での上体反らし運動、脊椎の可動性を向上するエクササイズは腹臥位でのOn hands push upによる上体反らし運動を実施した。胸椎と腰椎の彎曲角度の測定にはSpinal Mouse(Idiag AG,Switzerland)を用いた。測定肢位は立位と腹臥位での安静位および最大体幹伸展位の3肢位とした。胸椎と腰椎の彎曲角度はそれぞれの各椎体間がなす角度の和を胸椎角と腰椎角として求めた。さらに前傾姿勢の指標としてTh1とS1を結ぶ線と床からの垂線がなす角度(全体傾斜角)を求めた。脊椎の可動性は腹臥位での安静位からのOn hands push upによる最大体幹伸展位で求めた。体幹伸展筋力の測定はGT-350(OG技研)を用いて体重比で求めた。統計学的分析にはEx群とC群の比較とエクササイズ前後の比較にはwilcoxon順位符号検定を用いた。エクササイズによる立位姿勢の角度変化と脊椎の可動性および体幹伸展筋力の変化量をそれぞれPearsonの相関係数を用いた。<BR>【結果】 6ヵ月後C群では胸椎角で1.5°、腰椎角で1.7°、全体傾斜角で0.5°屈曲方向へ変化した。Ex群は胸椎角で11.4°腰椎角で10.4°、全体傾斜角で1.6°伸展方向へ変化した(p<0.05)。Ex群はすべての角度でC群と比べ有意に角度変化を認めた(p<0.05)。エクササイズ前の脊椎の可動性が大きい対象ほどエクササイズにより立位姿勢は大きく変化した(r=0.55、p<0.05)。体幹伸展筋力はC群で0.32N/kg減少し、Ex群で0.84N/kg増加した(p<0.05)。エクササイズによる体幹伸展筋力が増加するほど立位姿勢は大きく変化した。(r=0.61、p<0.05)。<BR>【考察】 6ヶ月間の運動療法において脊椎の伸展は促され、前傾姿勢も改善された。視診および本人の自覚から十分に円背姿勢の改善を認め運動療法の効果を確かめることができた。安静立位の脊椎を伸展させるには脊椎の可動性を向上させ、体幹伸展筋力を増加させることが重要であると考えられた。<BR>【まとめ】 今回、運動療法介入により円背姿勢が改善するかを検討した。6ヶ月間のエクササイズにより脊椎は伸展し、円背姿勢が改善された。<BR>