著者
砂川 力也 福地 修也 Sunakawa Rikiya Fukuchi Shuya
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.121-129, 2020-02

本研究は,長距離ランナーを対象に短期的なレジスタンストレーニングの介入が走パフォーマンスに与える影響を明らかにすることを目的とした.被験者は,長距離走を専門とする健常な男子大学生9名(Tr群:5名,Cnt群:4名)であった.測定は,5000m走(平均速度,平均ストライド長,平均ストライド頻度),最大挙上重量(スクワット,デッドリフト),最大無酸素パワー,CMJおよびRJとし,それぞれトレーニングの前後で計測し,その変化を比較した.レジスタンストレーニングは,スクワットおよびデットリフトを週2~3回の頻度で6週間実施した.トレーニング負荷は60%1RM×10レップ×3セットとし,トレーニング期間中に10レップ以上の挙上が可能になった場合は状況に応じて負荷を漸増させた.その結果,両群ともに5000m走のタイムに変化は見られなかったものの,Tr群においてトレーニング後に最大筋力,パワー,SSC能力の有意な向上が認められたことから,ランニングエコノミーの向上に寄与する可能性が考えられた.しかし,直接的な影響を与えられなかった要因として有酸素性能力の改善も同時に考慮したトレーニング計画の必要性が示された.