著者
長岡 広香 坂下 明大 濵野 淳 岸野 恵 岩田 直子 福地 智巴 志真 泰夫 木澤 義之
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.789-799, 2017 (Released:2017-12-28)
参考文献数
14

緩和ケア病棟への転院に関する障壁を明らかにすることは,がん患者が望んだ場所で療養できる体制の整備を通して,quality of lifeへの寄与が期待できる.本研究では,がん終末期患者の緩和ケア病棟転院の障壁を明らかにすることを目的に,がん拠点病院424施設のソーシャルワーカー・退院調整看護師を対象に自記式質問紙調査を行った.探索的因子分析により,緩和ケア病棟への転院の障壁11因子が同定された.病状・予後に関して医師から患者に十分説明を行うこと,適切な時期に気持ちの配慮をしながら多職種で意思決定し緩和ケア病棟に紹介すること,がん拠点病院と急性期病院,緩和ケア病棟,在宅等の地域の医療機関との緩和ケア連携体制を整備すること,緩和ケア病棟への入院が必要な患者を適切に評価する仕組みを作ることは,ソーシャルワーカー・退院調整看護師から見た緩和ケア病棟転院の障壁を軽減する可能性があると考えられた.