- 著者
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高橋 薫
福崎 篇
目時 利林也
折笠 精一
- 出版者
- 社団法人日本泌尿器科学会
- 雑誌
- 日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
- 巻号頁・発行日
- vol.77, no.5, pp.806-812, 1986
経皮的腎結石摘出術後の腎瘻を有しIVP上正常尿管と考えられる10症例10尿管について,特別な水分負荷をすることなく,仰臥位,無麻酔下で腎瘻よりPressure-Flow Study(PFS)を行なった.腎瘻からの溶液注入量を低注入率(0.5ml/min)から高注入率(10ml/min)まで変化させ,各注入量時の腎盂内圧の変化を比較検討した.また注入液に色素を加えたものを0.5ml/minの定速で注入し,色素が膀胱に達するまでの時間(transit time, T)を測定した.さらに腎瘻から造影剤を注入して各注入率時の尿管の輸送形態をレ線学的に比較し,PFSの結果と比較した.生理的自尿排出時(注入率,F=0ml/min)の腎盂内圧は12〜22.5cmH_2O,平均16.2±3.0cmH_2Oであった.(2)3ml/min以下の低注入率では,腎盂内圧の上昇をみるが,4ml/min以上の高注入率では不変ないし下降した.(3)Transit time(T)は,350〜850sec,平均610±158secであった.腎盂の形態が正常の3例の平均は417secであり,transit time(T)は水腎症の程度に影響された.(4)尿管輸送形態のレ線学的観察により3ml/min以下の低注入率時には主に蠕動運動により,また4ml/min以上の高注入率時には主に尿管が管状となって尿を輸送することが判明した.(5)PFSの結果に基づき計算した尿管抵抗は,注入率が3ml/min以下と4ml/min以上でそれぞれの回帰直線は明らかに異なっていた.このことは(2)及び(4)の結果とよく一致していた.