著者
瀬戸 芳一 福嶋 アダム 高橋 日出男
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.223-232, 2019 (Released:2019-07-03)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

本研究では,夏季の関東地方南部を対象として,風向の定常性を示す定常度や風向の日変化に着目し,都市の気温分布とも密接に関連する局地風系の交替時刻の地域分布を検討した.日中と夜間との風向変化が内陸で明瞭な海陸風日を抽出し,定常度の変化から判断した交替時刻の等時刻線を描いたところ,日中には海風前線に対応する海岸線に平行した等時刻線の内陸への進行が認められた.一方,夜間の陸風への交替は海風よりも進行速度が遅く,翌5時においても東京都区部の大部分では陸風への交替がみられなかった.東京都区部など海岸に近い地域ほど,1日を通して南寄りの風が卓越し陸風が到達しない日数の割合が大きく,特に東京湾岸では海陸風日のうちの約60%を占めた.そこで,海陸風日の中で沿岸部まで陸風が到達した日について改めて交替時刻を求めたところ,陸風への交替は海陸風日よりも早く,翌5時には東京都区部のほぼ全域において陸風への交替が認められた.
著者
瀬戸 芳一 福嶋 アダム 高橋 日出男
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.223-232, 2019
被引用文献数
1

<p>本研究では,夏季の関東地方南部を対象として,風向の定常性を示す定常度や風向の日変化に着目し,都市の気温分布とも密接に関連する局地風系の交替時刻の地域分布を検討した.日中と夜間との風向変化が内陸で明瞭な海陸風日を抽出し,定常度の変化から判断した交替時刻の等時刻線を描いたところ,日中には海風前線に対応する海岸線に平行した等時刻線の内陸への進行が認められた.一方,夜間の陸風への交替は海風よりも進行速度が遅く,翌5時においても東京都区部の大部分では陸風への交替がみられなかった.東京都区部など海岸に近い地域ほど,1日を通して南寄りの風が卓越し陸風が到達しない日数の割合が大きく,特に東京湾岸では海陸風日のうちの約60%を占めた.そこで,海陸風日の中で沿岸部まで陸風が到達した日について改めて交替時刻を求めたところ,陸風への交替は海陸風日よりも早く,翌5時には東京都区部のほぼ全域において陸風への交替が認められた.</p>