著者
入月 克巳 福村 聡
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.225-226, 1991-02-25

生産管理に代表される製鉄所のシステム化は、情報技術の進展を背景として複雑な判断・意思決定を含む業務サポートヘと範囲を拡げている。特に最近は生産管理において顧客の多様なニーズへの迅速な対応が必要とされており、きめの細かい計画機能を持つ事を狙いとしたシステム開発が指向されてきた。従来から計画問題のシステム化手法としてORがあるが、現実の問題への適用、特に詳細度を要求される問題では限界がある。すなわち、総じてこれらの問題は、多数の制約条件を満たし、ある評価指標で良好な組合せを多数の組合せの中から選ぶ"組合せ最適化問題"として定式化できるが、手順的な方法では組合せの探索が困難であり実用時間での解決が不可能であることが多い。我々はこのような業務のシステム化方策として、エキスパートシステムが有効であると認識している。すなわち熟練計画者は効率の良い手順とそれで行き詰まった際の試行錯誤を効率よく行っており、このノウハウを活用する事によりシステム化が可能と考える。製鉄所の製品出荷トラックの日次作業計画立案のエキスパートシステム構築において、組合せ問題の中で"多重世界機構[1]"を用いた試行錯誤処理を実現した。当論文では、多重世界機構をいかに有効に利用し実用問題に適用したかを中心に述べる。