著者
篠崎 隼也 福永 健司
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.103-106, 2009 (Released:2010-07-26)
参考文献数
7

ニシキギ属の落葉低木類の種子は強い休眠性を持つものが多く,発芽が不揃いになりやすい。そこで,含水率を31.8 %,27.2 %に低下させた同属のツリバナ,オオツリバナ種子に対する低温湿層処理とジベレリン処理の発芽促進効果を検討した。その結果,変温環境下の屋外の発芽試験では,2樹種ともジベレリン未処理のものは発芽ピークまでに50日間要したのに対し,処理を行ったものは20日前後に短縮された。また,ジベレリンの濃度は100 ppmから発芽促進の効果が見られた。なお,低温湿層処理の効果はほとんど見られなかったが,今回設定した種子含水率では休眠が浅かったためではないかと考えられた。
著者
正月 公志 福永 健司 橘 隆一
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.143-146, 2011 (Released:2012-03-14)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

ポット底面の空気根切り処理の違いが,苗の根系成長に与える影響を明らかにすることを目的とし,コナラとネズミモチの稚苗を底面の通気及び排水性の異なるポットに鉢上げしてから,615日間育成した。その結果,コナラについては,主根のルーピング防止効果が認められた。また,ネズミモチは,ルーピングの完全な防止効果は認められなかったものの,抑制効果は認められた。このことから,ポット底面の形状の違いがコナラおよびネズミモチの根系成長に対して顕著な影響を与えたと推測され,空気根切りを用いた苗木育成のルーピング防止または抑制に対する有効性が認められた。
著者
益田 光 武井 理臣 橘 隆一 福永 健司
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.150-155, 2017 (Released:2018-03-15)
参考文献数
19

長期に低温密封貯蔵した種子は種子含水率の低下によって休眠が深くなっているため播種前に休眠打破をすることが望まれる。本研究では,落葉広葉樹 13種を用いて冷温湿層処理および暖温湿層処理と冷温湿層処理の組み合わせ処理を行い休眠打破に必要な処理期間や処理温度を調べた。冷温湿層処理に対する反応は樹種によって異なったが,概ね 3ヶ月間以上の処理期間で休眠打破された。冷温湿層処理と暖温湿層処理を施した 5種は 20.0 % 以上の最終発芽率を示さなかった。暖温湿層処理と冷温湿層処理を組み合わせると冷温湿層処理のみでは発芽しなかったマユミとガマズミが発芽したが,冷温湿層処理のみで発芽がみられた樹種の最終発芽率は低下した。
著者
吉田 寛 古田 智昭 福永 健司
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.512-519, 2003 (Released:2004-08-27)
参考文献数
6
被引用文献数
3 3

貝殻廃棄物を利用した酸性雨対策や強酸性土壌地における緑化手法「アルプラス工法」の概要について紹介する。本緑化工法は, 酸性矯正材 (中和材) として臨海施設や養殖産業から排出される貝殻廃棄物を調整加工したリサイクル資材「シェルレミディ」を用いることを特徴としている。この資材は, 中和効果が長期間持続するほか, 多くのミネラルを含んでいることから一般的な中和剤である炭酸カルシウムを使用した場合と比較して植物の成長を促進することができ, 植生基材や酸性矯正層の材料として使用することにより, 酸性雨や強酸性土壌が原因で植生の回復が困難な法面等における良好な緑化が期待できる。
著者
東海林 あさこ 福永 健司 橘 隆一 太田 猛彦
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.191-194, 2008-08-31
被引用文献数
2 2

下水汚泥炭化物の緑化基盤への適用可能性を検討するため,炭化物の理化学的性質を測定した。また,関東ロームに炭化物を異なる比率で混合した基盤で,コマツナ,ヤマハギ,ヤシャブシの生育実験を行った。その結果,下水汚泥炭化物には孔隙は少ないが,pHやECに問題はなく,無機態窒素や燐酸を多く含むため,土壌化学性の改善に有効と考えられた。生育実験では,炭化物の混合直後の播種や,混合率70%(体積比)でも発芽・生育障害は認められなかった。生育改善効果の高い混合率は植物によって違いが見られたが,コマツナとヤシャブシで10〜30%,ヤマハギで30〜70%であった。ヤマハギでは根粒形成も旺盛になった。以上から,下水汚泥炭化物は緑化基盤材料として適用可能であり,土壌改善効果が高いと考えられた。
著者
吉田 寛 古田 智昭 福永 健司
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.512-519, 2003-05-31
参考文献数
6
被引用文献数
3 3

貝殻廃棄物を利用した酸性雨対策や強酸性土壌地における緑化手法「アルプラスエ法」の概要について紹介する。本緑化工法は,酸性矯正材(中和材)として臨海施設や養殖産業から排出される貝殻廃案物を調整加工したリサイクル資材「シェルレミディ」を用いることを特徴としている。この資材は,中和効果が長期間持続するほか,多くのミネラルを含んでいることから一般的な中和剤である炭酸カルシウムを使用した場合と比較して植物の成長を促進することができ、植生基材や酸性矯正層の材料として使用することにより,酸性雨や強酸性土壌が原因で植生の回復が困難な法面等における良好な緑化が期待できる。