著者
正月 公志 福永 健司 橘 隆一
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.143-146, 2011 (Released:2012-03-14)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

ポット底面の空気根切り処理の違いが,苗の根系成長に与える影響を明らかにすることを目的とし,コナラとネズミモチの稚苗を底面の通気及び排水性の異なるポットに鉢上げしてから,615日間育成した。その結果,コナラについては,主根のルーピング防止効果が認められた。また,ネズミモチは,ルーピングの完全な防止効果は認められなかったものの,抑制効果は認められた。このことから,ポット底面の形状の違いがコナラおよびネズミモチの根系成長に対して顕著な影響を与えたと推測され,空気根切りを用いた苗木育成のルーピング防止または抑制に対する有効性が認められた。
著者
益田 光 武井 理臣 橘 隆一 福永 健司
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.150-155, 2017 (Released:2018-03-15)
参考文献数
19

長期に低温密封貯蔵した種子は種子含水率の低下によって休眠が深くなっているため播種前に休眠打破をすることが望まれる。本研究では,落葉広葉樹 13種を用いて冷温湿層処理および暖温湿層処理と冷温湿層処理の組み合わせ処理を行い休眠打破に必要な処理期間や処理温度を調べた。冷温湿層処理に対する反応は樹種によって異なったが,概ね 3ヶ月間以上の処理期間で休眠打破された。冷温湿層処理と暖温湿層処理を施した 5種は 20.0 % 以上の最終発芽率を示さなかった。暖温湿層処理と冷温湿層処理を組み合わせると冷温湿層処理のみでは発芽しなかったマユミとガマズミが発芽したが,冷温湿層処理のみで発芽がみられた樹種の最終発芽率は低下した。
著者
蒲原 弘継 ウィディヤント アヌグラ 熱田 洋一 橘 隆一 後藤 尚弘 大門 裕之 藤江 幸一
出版者
環境科学会
雑誌
環境科学会誌 = Environmental science (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.247-256, 2009-07-31
参考文献数
42
被引用文献数
3

本研究は,インドネシア産のパーム油を原料にしたバイオディーゼル燃料(パームBDF)の生産から,日本国内への輸入に伴う環境負荷として,温室効果ガス排出量とエネルギー消費量を評価した。評価は,インドネシア現地での調査結果に基づき行った。温室効果ガス排出量はバイオマスによって固定された炭素の収支を考慮して評価した。その結果,パームBDF生産・輸送に伴う正味の温室効果ガス(GHG)排出量は,軽油の生産・輸送・消費に伴なうGHG排出量に比べ約60%のGHG排出量であった。ただし,今後,パーム油工場で発生するバイオマス残渣やラグーンで発生しているメタンの有効利用が行われればGHG排出量のさらなる低減が可能であることが示唆された。一方,パームBDF生産・輸送に伴うエネルギー消費量の合計は,約10.4MJ/Lであった。仮に,日本で消費される軽油分のエネルギーをすべて代替するためには,約11万haのオイルパームのプランテーションが新たに必要となることが明らかとなった。
著者
東海林 あさこ 福永 健司 橘 隆一 太田 猛彦
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.191-194, 2008-08-31
被引用文献数
2 2

下水汚泥炭化物の緑化基盤への適用可能性を検討するため,炭化物の理化学的性質を測定した。また,関東ロームに炭化物を異なる比率で混合した基盤で,コマツナ,ヤマハギ,ヤシャブシの生育実験を行った。その結果,下水汚泥炭化物には孔隙は少ないが,pHやECに問題はなく,無機態窒素や燐酸を多く含むため,土壌化学性の改善に有効と考えられた。生育実験では,炭化物の混合直後の播種や,混合率70%(体積比)でも発芽・生育障害は認められなかった。生育改善効果の高い混合率は植物によって違いが見られたが,コマツナとヤシャブシで10〜30%,ヤマハギで30〜70%であった。ヤマハギでは根粒形成も旺盛になった。以上から,下水汚泥炭化物は緑化基盤材料として適用可能であり,土壌改善効果が高いと考えられた。