著者
福田 充男
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集 社会科学系列 (ISSN:02879719)
巻号頁・発行日
no.27, pp.127-143, 2010-03

第三者割当増資では発行価格が市場価格よりもかなり低い水準に、つまりディスカウントされて設定されるのが通常ある。一見すると、このことによって割当を受けない既存株主は不利益を被るように見える。この研究で得られた実証結果によると、発行価格のディスカウントは割当を受ける投資家が負担する情報生産コストやリスクを反映して決まる。そして、大幅なディスカウントにもかかわらず、第三者割当増資のアナウンスメントに対して株式市場はプラスの超過リターンを示す。そして超過リターンは企業価値に関する好ましい情報を反映している。つまり、第三者割当増資によって既存株主が不利益を被るという証拠はない。
著者
福田 充男
出版者
経営哲学学会
雑誌
経営哲学 (ISSN:18843476)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.2-16, 2021-04-30 (Released:2021-07-22)
参考文献数
15

本研究では、Peter M. Senge (2006) 著「The Fifth Discipline」で提示されたディシプリンの1つであるシステム思考のうちの「問題のすり替わり構造」を主たる分析ツールとして援用し、沖縄県宮古市所在の自然塩製造・販売業者の経営理念浸透メカニズムの解明を試みた。この事例分析を通して、理念浸透を促進する「掲揚」と「実践」と「会話」という3つの行為が、相互に双方向に作用しあうという統合的学習モデルを、経営トップと経営チームと一般社員が共通して保有し、重層的なフラクタル構造を維持するときに、より深く組織に理念が浸透するという理念浸透メカニズムのモデルが導出された。