- 著者
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秋元 孝文
- 出版者
- 甲南大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2008
アメリカ小説における想像力と、その同時代の紙幣制度の間にはなにかしらパラレルな関係が見いだせるのではないかという仮定のもとに、Paul Auster, Mark Twain, Frank Baum, Herman Melvilleという4人の作家の作品を取り上げて考察を行った。Auster作品では9.11以後の陰謀論的想像力との共鳴が、Twain作品ではサインと主体の分離の問題にバイメタリズムとの関連が見られ、そしてBaum作品ではエメラルド・シティの「緑」に紙幣の「グリーン」、そして同時代の紙幣のデザインに紙幣的なレトリックが見られることを証明した。MelvilleのBartlebyについてはその複製への抵抗をfantasy noteと呼ばれる偽札との関連で論じた。