著者
石橋 俊實 太田 清之 中川 秀三 近藤 宗一 内村 訪之 秋元 波留夫
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.237-294, 1942-08-31 (Released:2010-11-19)

本研究は日本學術振興會第8小委員會に提出したものの一部である (内村)
著者
秋元 波留夫
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-12, 1989-04-30 (Released:2011-01-25)
参考文献数
26
被引用文献数
1

John Huhlings Jacksonのてんかん研究について, その現代てんかん学にもたらした寄与に視点をおいて考察を加えた。その主要な点は次のように要約される。Jacksonは19世紀神経学の常識であった「ほんとのてんかん」(いわゆる真正てんかん) と「てんかん様けいれん」(Bravais-Jacksonてんかん) とのいわれのない差別を打破した。真正てんかんは唯一のてんかんであるという特権を剥奪され, てんかん群の一つに格下げされ, 新しいてんかん概念が確立された。新しいてんかん概念はJacksonの「てんかんは機会的, 突然, 過度, 急激, そして局所的な灰白質の発射を意味する名称である」という定義に基づいている。その病理学的原因および臨床形態は多様であり, 1985年ILAEてんかん国際分類が提示するようにさまざまなてんかんおよびてんかん症候群が存在する。この意味においててんかんは複数である。しかし, それにもかかわらず, あらゆるてんかんは共通の神経系機能障害-Jacksonの定義した灰白質の過度発射-を有するという意味において単数のてんかんである。てんかん学存立の根拠はここに求められる。