著者
天池 寿 栗岡 英明 秋岡 清一 藤野 光廣 谷向 茂厚 飴野 弘之 安田 達行 西本 知二 池田 栄人 武藤 文隆 橋本 京三 大内 孝雄 田中 貫一 原田 善弘 伊志嶺 玄公
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.2017-2021, 1991-07-01
被引用文献数
5

65歳,男性.左上腹部痛・腫瘤触知を主訴に来院.入院精査の結果胃平滑筋肉腫と診断され,1988年6月29日にリンパ節郭清を伴った胃全摘・膵尾部脾合併切除を施行した.同年10月左側腹壁に境界不明瞭な腫瘤を認め,再発治療目的でAdriamycin,Cisplatin,Etoposide併用療法(EAP療法)を2クール施行した.その治療効果は著明で,触診上および腹部computed tomography(CT)検査上complete response(CR)の状態となり,現在再発の兆候なく健在である.EAP療法は,切除不能の進行胃癌患者に対して高い奏効率を認めると報告された強力なcombination chemotherapyである.一般に胃平滑筋肉腫に化学療法が奏効したという報告は少ないので,われわれの経験した有効例を今後への展望を期待し報告した.副作用としては高度の骨髄抑制,悪心・嘔吐,脱毛が認められたが,いずれも回復可能であった.
著者
奥川 郁 土屋 邦之 石原 陽介 中野 且敬 秋岡 清一 大坂 芳夫 高橋 滋 迫 裕孝
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.861-867, 2011-07-01 (Released:2011-07-23)
参考文献数
7

ポリカルボフィルカルシウム製剤服用後にイレウスにて開腹術を行った67歳の女性の症例について報告する.右卵巣嚢腫で手術既往があった.下痢のため近医よりポリカルボフィルカルシウム製剤を7日分処方された.服用12日目に腹部膨満と嘔吐が出現し,当院救急受診,入院となった.CTにて小腸の拡張と,小腸内に結腸内便様の内容物を認めた.イレウス管を挿入し保存的に経過を見たが,症状の増悪を見たため入院4日後に開腹した.癒着解除だけでは,腸内容を送り出せなかったため,小腸壁を切開し内容物を排出した.腹腔内の癒着のために腸管内容排出遅延が生じ,そのために服用していたポリカルボフィルカルシウム製剤が過度に膨潤,硬化した.このことによって,開腹術が必要となったと考えられた.この症例について,文献的考察を加えて報告する.