著者
秦 裕也 藤崎 ちえ子
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.93-100, 2018-09-09 (Released:2019-02-20)
参考文献数
4

本稿は,通級に通う不登校ぎみの小学校1 年男児のプレイセラピーの事例を通して,セラピールームでの児童の行動化への対応と課題を検討したものである。児童は発達の緩やかさから学校での劣等感を抱え,それがセラピーでの攻撃行動に表現されていたと思われる。また,セラピー経過の途中より,母親の恋人との問題が浮上し,児童の攻撃行動が学校での人間関係だけでなく,家庭の問題とも関係している可能性が考えられた。しかし,セラピストは「受容的な関わり」に捉われたあまり,攻撃行動に対して明確な枠組みで制限を加えることができなかった。そのため,なかなか攻撃行動は収まらなかったと思われる。事例を通して,限界を超えた行動に対しての明確な枠を設けることの重要性を検討した。