著者
稲冨 徹
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.38-40, 2012-02-01 (Released:2013-11-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1

災害時の皮膚疾患としては,救命に関わるものの他,復興に時間がかかる場合には,被災者の Quality of Life (QoL) を重視する観点から,災害後の慢性皮膚疾患のケアも重要になる.2011 年 3 月に発生した東日本大震災では,震災前に行われていた訪問診療体制の再建を含め,慢性疾患患者の診療に対する希望が強かったため,日本皮膚科学会では 2 ヶ月にわたり宮城県での診療ボランティア活動を行い,一定の成果を上げた.しかし立ち上がりが遅かったこと,現地でのマネージメント体制が不備であったこと,地元医療機関との連携がうまくいかなかったことなどが課題として残った.
著者
稲冨 徹 福地 君朗 三上 正憲 小松崎 早子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.161-163, 2012-04-10

要約 背景:フィナステリド(プロペシア®)はテストステロンがジヒドロテストステロンに変換されるのを阻害することで,男性型脱毛(androgenic alopecia:AGA)に対し有効性を示す.方法:フィナステリド内服歴が6か月以上の成人男性AGA患者34例を対象に,内服による頭毛,体毛の変化についてアンケート調査した.結果:平均年齢は44歳,フィナステリドの平均内服期間は1mg/日×18か月であった.体毛が濃いと感じているのは対象患者群の50%に当たる17例であり,濃い部位は下腿や髭が多かった.AGAへの効果は,やや改善以上が全体で34例中21例,62%だった.やや改善以上の比率を体毛の濃さによって比較すると,濃い群では15/17例(88%)だったのに対し,薄い群では6/17例(35%)と有意差をもって濃い群でフィナステリドの有効性が高かった.フィナステリド内服によって体毛への影響を感じた患者はいなかった.結語:AGA患者の約半数は髭やすね毛が濃く,またそれらの体の濃いほうがフィナステリドのAGAに対する有効性が高い.