著者
國實 誉治 小泉 明 荒井 康裕 稲員 とよの 石田 紀彦 藤川 和久 関田 匡延 村田 諒介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.III_425-III_434, 2019

<p> 本研究では,配水管網ネットワーク内での基幹管路である配水本管に着目して,水需要の経年変化を考慮した更新計画について分析を行った.管路更新後の配水ネットワークの冗長性を確保する目的で,供給点からの管路延長を基準とした3つの区分(上流,中流,下流)に分けて,給水に必要な配水小管上での有効水頭を確保できる縮径の組み合わせを検討した.更新の対象管路は非耐震継手管として,【更新優先度順】【布設年度順】【流量順】の3つの更新シナリオを設定し,配水小管上での最小有効水頭や更新工事費用,更新工事時の逆流の発生,ポンプ増減圧による電力費を指標として比較分析を行い,新たな配水管路の更新計画についてシナリオ分析を行った.この結果,配水本管の縮径更新に関する経済性や安定供給性を考慮した新たな知見を得ることができた.</p>
著者
田村 聡志 木伏 明人 増子 知樹 稲員 とよの 小泉 明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.III_157-III_164, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
16

従来ステンレス給水管に使用され,現在も地中に多数残存している砲金製の継手等の腐食は,これまで漏水の原因の一つとなってきている.そこで本研究では,ステンレス鋼管と砲金継手等との間のガルバニック腐食の進行を,管対地電位を活用して評価した.まず,給水管や配水管の4種類の金属材料が6種類の土壌中で示す自然電位を実験室内で測定し,自然電位が時間の経過とともに大きく変動するものの,400日後には概ねステンレス鋼>砲金>鉛>ダクタイル鋳鉄の順となっていることを明らかにした.その上で,都内のほぼ全域において318栓のステンレス給水管を掘り上げて,管対地電位と最大腐食深さを測定し,管対地電位が高くなるほど砲金継手等の腐食割合が高まり,最大腐食深さも増大することを明らかにした.
著者
西澤 常彦 稲員 とよの 小泉 明 渡辺 晴彦 荒井 康裕 森 正幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.II_143-II_150, 2011 (Released:2012-03-16)
参考文献数
11

管路更新計画における更新順序の決定では,管路単体の物理評価だけでなく管路ネットワーク構造における上下流関係を定量的に評価することが重要である.すなわち,ある管路上で発生した断水事故の影響は,まず,直近の仕切弁を閉じて作られる断水領域として生じ,次いでその影響が管路のネットワーク上の発生箇所によって異なる形で波及するといえる.そこで本研究では,管路ネットワーク上の仕切弁で閉じられる個々の断水領域を需要者ユニットと定義することにより,管路事故時における水供給への影響度を需要者ユニット間の相互関連構造から評価する方法を提案した.さらに,ケーススタディで,提案したネットワーク構造に基づく影響度評価を行うとともに管網解析の結果との整合性を確認することで本提案の有効性を示した.
著者
荒井 康裕 小泉 明 堀川 博哉 稲員 とよの Bambang BAKRI
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.III_337-III_344, 2013 (Released:2014-03-03)
参考文献数
15
被引用文献数
1

我が国の水道施設は, 人々の活動を支える社会基盤として欠かすことのできない存在である. しかし, 資源やエネルギーの大量投資に伴って環境負荷を与えている一面もある. さらに, 高度経済成長期に集中的に建設された施設の老朽化が進行し, 現在では大更新期といった難局面も迎えている. ライフラインとしての水道管路を今後も維持して行くためには, 可能な限り環境負荷の小さいシステムへ移行することが重要な検討課題の1つに挙げられる. 本論文では, 管路施設とポンプ施設から構成される水道管路システムに着目し, LCA(Life Cycle Assessment)の観点から, 建設, 運転, 維持管理, 更新の各々のプロセスにおけるCO2排出量の算定を行った. 車両輸送と管路輸送の比較により, 後者(管路)による水輸送の優位性を示した. さらに, 人口密度の大小, 管路配置形状の違い, 管路口径の大小がCO2排出量にどのような影響を及はすか多面的に明らかにした.