著者
稲本 元 加藤 学
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.337-351, 2021 (Released:2021-07-28)
参考文献数
54

透析患者では食事制限,透析による水溶性ビタミンの喪失,代謝異常による要求量増加,治療薬の影響などにより水溶性ビタミンが不足する.水溶性ビタミンの必要量は健常人必要量より多く,食事では充足できず,水溶性ビタミンの補充が必要で,補充により生命予後が改善する.欧米ですでにできている補充用ガイドラインの日本版を日本透析医学会で作成し,総合水溶性ビタミン剤(経口薬,注射剤ともに)を製造,販売してもらい,治療に用いるべきである.
著者
瀬川 智一 松川 晃 佐多 和子 稲本 元
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
人工透析研究会会誌 (ISSN:02887045)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.325-330, 1983-10-31 (Released:2010-03-16)
参考文献数
26

細胞培養法を用い, 医療用プラスチックの水溶性および脂溶性抽出物質の細胞に及ぼす影響を検討した.ethylene-vinylacetate copolymerならびに可塑剤無添加および添加のpolyvinyl chlorideのエタノールあるいは血清抽出液は, 蒸留水あるいは生理食塩水抽出液と異なり, いずれもマウス由来L-929細胞の増殖を濃度依存性に抑制し, 形態学的な変化も惹起した. 一方, polyethyleneの抽出液はいずれも培養細胞に影響を及ぼさなかった.現在の溶出物に関する安全性試験では主に蒸留水および生理食塩水を抽出溶媒としているが, 直接血液と接触する器材に対しては水溶性のみならず脂溶性物質の溶出にも十分注意を払うべきであろう.