著者
稲本 奈穂 柿本 正憲 高谷 優樹 榎本 暁人 斎藤 英雄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.42, pp.29-32, 2009-10-21

複数のカメラで撮影される実写画像から,立体視可能なスポーツコンテンツを生成する手法を提案する.従来,立体視用の実写コンテンツを生成するためには,キャリブレーションされた複数のカメラで被写体を撮影し,被写体のデプス情報を取得する必要があった.もしくは,表示ディスプレイと同じ視点数分のカメラを用意し,ディスプレイの視差に合わせて撮影を行う必要があった.それに対し本手法では,カメラ間の相対的な位置関係から,視点補間技術を用いて,立体視に必要な視点数分の画像を生成し,立体視画像の合成を行う.カメラのキャリブレーションを省力化できること,ソフトウェア処理にてディスプレイの個体差を吸収できることから,高効率かつ出力先を選ばない柔軟な立体視コンテンツ生成が可能となる.
著者
稲本 奈穂 斎藤 英雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.1693-1701, 2005-08-01
被引用文献数
21

スポーツイベントを対象にした自由視点映像合成技術を複合現実感に応用し, HMDを用いた新しいスポーツ観戦の枠組みを提案する. スタジアムで撮影される多視点スポーツ映像から, 視点の内挿によって観察者の視点位置に相当する仮想視点の映像を生成し, HMDを用いて現実空間にスポーツシーンを重畳表示する. これにより, HMDを装着した観察者は, あたかも目の前で試合が行われているかのような感覚を得ることができる. 本手法では, 試合を撮影する多視点カメラや現実空間を撮影するHMDカメラの校正を行わずに, 自然特徴点の対応関係のみから推定可能なカメラ間の射影幾何的関係を用いて, 仮想視点映像の生成や現実空間と仮想物体との位置合せを実現する. 本論文では, 本手法の有用性を検証するために, サッカー映像を複合現実提示するシステムを構築した. このシステムでは, サッカースタジアムで多視点カメラにより撮影したサッカー映像を, 机の上に設置したフィールド模型の上にHMDを用いて重畳表示することができる.