著者
井野 千代徳 稲村 達哉 木下 卓也 加藤 真子 柳田 亜由子 井野 素子
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.759-764, 1994-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
19

唾液腺型の高アミラーゼ血症を主訴とした2症例を報告した. 1例目は, 20歳の女性で, 嘔吐などがあり, 20kgを越す体重の減少があり, anorexia nervosaが疑われた. 両側の顎下腺腫脹があり, 穿刺組織診で唾液腺症と診断された. 2例目は, 40歳の女性で, 既往歴として高尿酸血症と甲状腺機能亢進症がある. 後者の方は, 現在コントロールされているが, 前者は, 依然として高値のままである. 両側の耳下腺の腫脹があり, 穿刺組織診で唾液腺症と診断された. 唾液腺症に高アミラーゼ血症を伴う例は, anorexia neruosaに合併した唾液腺症以外は報告されていない. 唾液腺症の腺房細胞の顆粒は, clear, dark, mixedに分類されるが, clearな顆粒を有した腺房からは, 唾液中にアミラーゼが多く分泌されるという. 今回報告した2症例の分泌顆粒はclearなものが優位なため, 高アミラーゼ血症を呈したものと考えた.
著者
井野 千代徳 稲村 達哉 岸本 麻子 岸本 由里 久保 伸夫 山下 敏夫
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.840-843, 1997-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
11

食事に関連し耳下腺腫脹, 顔面紅潮, 喘鳴などを主訴とする症例を報告した. 患者は35歳女性で医師. CTでは異常所見なく, 耳下腺造影でも大きな異常は認めなかつたが造影後に著しい耳下腺腫脹と顔面紅潮, 呼吸困難が出現した. 初診時の耳下腺唾液は混濁などなく清明であり, その塗沫にて多数の好酸球をみとめた. アレルギー性耳下腺炎と診断したが, その原因としてヨードを疑つた. 報告されている類似疾患のなかでもヨードが疑われた例があり, ヨードと唾液腺との関係についても考察を加えた.