著者
福井 順子 河野 えみ子 奥平 咲絵 寺村 重郎 井野 千代徳 山下 敏夫
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.419-425, 1998-06-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
2

うがい薬はかぜ症候群, その他の口腔疾患の治療と予防に広く使用されており, その有効性についてはよく知られている.しかし, 使用方法についてはあまり検討されておらず, 各人各様に行なっているものと思われる.そこで患者が実際にどのようなうがいを行なっているか, ポビドンヨード含嗽剤を用いて調査し, 現在提唱されているマニュアルと比較した.その結果, 患者は規定の3~6倍薄い希釈液を用い, 短い時間でうがいを行なっていた.うがい方法については, 多くの患者が咽頭部分にうがい液が行き渡る咽頭型のみのうがい方法であった.これらの事実はうがいの有する機械的除菌作用と殺菌作用とが有効に活かされていないことを示している.その他, 現在提唱されているうがいの方法にも幾つか問題のある事が解り, 筆者らの目的である『有効なうがい方法の確立』に良い手がかりとなった.
著者
馬場 駿吉 高坂 知節 稲村 直樹 佐藤 三吉 鈴木 茂 遠藤 里見 石戸谷 雅子 小野寺 亮 山田 公彦 大久 俊和 荒井 英爾 鈴木 雅明 大山 健二 粟田口 敏一 戸川 清 岡本 美孝 松崎 全成 寺田 修久 喜多村 健 石田 孝 馬場 廣太郎 島田 均 森 朗子 池田 聖 金子 敏郎 今野 昭義 山越 隆行 石井 哲夫 窪田 市世 鍋島 みどり 田口 喜一郎 石山 哲也 中野 雄一 中村 英生 五十嵐 文雄 古川 仭 作本 真 山下 公一 久保田 修 宇佐神 篤 伊藤 博隆 鈴木 元彦 間宮 紳一郎 横田 明 加藤 薫 大屋 靖彦 河合 〓 岩田 重信 横山 尚樹 井畑 克朗 瀧本 勲 稲福 繁 坂倉 康夫 鵜飼 幸太郎 雨皿 亮 山田 弘之 坂倉 健二 平田 圭甫 伊藤 由紀子 村上 泰 竹中 洋 山下 敏夫 久保 伸夫 中井 義明 大橋 淑宏 阪本 浩一 村田 清高 平沢 昌子 原田 康夫 森 直樹 白根 誠 多田 渉 小林 優子 竹林 脩文 河野 嘉彦 夜陣 紘治 平田 思 宮脇 修二 津田 哲也 山下 隆司 二階堂 真史 柿 音高 永澤 容 増田 游 後藤 昭一 西岡 慶子 折田 洋造 東川 康彦 武 浩太郎 進 武幹 前山 忠嗣 百田 統洋 堤 昭一郎 茂木 五郎 川内 秀之 松下 太 吉村 弘之 高田 順子 石川 哮 定永 恭明 大山 勝 松崎 勉 坂本 邦彦 廣田 常治 内薗 明裕 鯵坂 孝二 中島 光好
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.389-405, 1995-03-01
被引用文献数
13 16

The efficacy and safety of Kampo preparation Sho-seiryu-to were studied in a joint double-blind trial in comparison with a placebo. The study was carried out on 220 patients with perennial nasal allergy at 61 hospitals. Granules in a dose of 3 g were administered 3 times daily for 2 weeks. Moderate to high improvement was recorded in 44.6% of the treated patients and in 18.1% of those receiving placebo. The difference is significant (p <0.001). Side effects were noted in 6.5% of the treated patients and in 6.4% of the controls (not a significant deference). The side effects were mild and had no influence on the daily life of the patients.
著者
山下 敏夫 北尻 雅則 友田 幸一 熊沢 忠躬 西川 正治
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.873-879, 1981 (Released:2011-11-04)
参考文献数
15

The innervation of cholinergic nerves in the Eustachian tube was light- and electron-microscopically observed using a histochemical technique. Acetylcholinesterase -positive nerves were seen just beneath the epithelial layer all along the tubal wall, around the blood vessels of the subepithelial space, and especially around the tubal glands. It is suggested from these findings that the cholinergic nerve plays an important role in controlling the blood flow in the subepithelial space and also in regulating the secretion of the tubal gland.
著者
河野 えみ子 福井 順子 今井 玲 寺村 重郎 井野 千代徳 山下 敏夫
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.199-207, 2003-02-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
4
被引用文献数
2

うがい効果を十分に得るためには, 含嗽剤の殺菌作用と機械的除菌作用を有効に活用することにある.また, 咽頭炎などの感染症には “咽頭型” のうがいを, 口内乾燥症には “口蓋型” のうがいと疾患別のうがい方法を考案して作成したパンフレットを用いてうがいの指導にあたってきた.うがい教室に参加した症例を対象として, うがい効果を検討した.口内乾燥症は「口がかわく場合」のうがい方法を6ヵ月実施後, 40%に自覚的に効果があった.手術を勧められた習慣性扁桃炎患者に「のどが痛い場合」のうがいを6ヵ月実施後, 53%が扁桃炎の発症が減少して改善がみられ, 今回手術を見送った.掌蹠膿疱症14例は「のどが痛い場合」のうがいを6ヵ月実施後, 10例に改善がみられ今回手術を見送った.
著者
岸本 麻子 浜野 巨志 南 豊彦 多田 直樹 中川 のぶ子 井野 千代徳 山下 敏夫
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.326-330, 2002-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
4

反復性の耳下腺腫脹を主訴とした症例の中でも、アレルギーによるものは少ない。その中で、著者らは花粉症に関連したアレルギー性耳下腺炎を経験した。症例は38歳の女性で、花粉症により鼻閉が出現した後にしばらくすると左耳下腺が腫脹するという症状を認めた。患側の耳下腺から流出した唾液中には好酸球が多数認められ、アレルゲン検査ではスギ、ヒノキ、ブタクサが陽性であった。また、耳下腺造影ではステノン管の著しい拡張を認めた。本症例に対し抗アレルギー剤などによる治療を行い、今日まで約4年間にわたり良好なコントロ-ルが得られている。以上の経過より、この疾患の発生機序として導管の拡張によるアレルゲンの逆流を考えた。すなわち、鼻閉が出現した後にしばらくして耳下腺が腫脹する事実から、口呼吸により吸い込んだアレルゲンが口腔内に貯留して拡張した導管から逆流することにより耳下腺炎を生ずると考察した。
著者
山下 敏夫 北尻 雅則 友田 幸一 熊沢 忠躬
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.75, no.12, pp.2567-2574, 1982-12-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
11

自然再生鼓膜を持つ側頭骨26耳の観察を行った. 従来, 耳鏡所見より自然再生鼓膜は皮膚層と粘膜層の2層のみで中間層はないとされていたが, そのほとんどの例において中間層の存在する事が確認され, 従来の考えの誤まりを指摘した.又, 移行部の観察より穿孔閉鎖機序には皮膚層が先行するとの印象を持った.一方保存的又は手術的閉鎖法によって再生された鼓膜の電顕的像を含めた組織学的観察により, 保存的閉鎖法により再生された鼓膜は, 正常鼓膜に近い構造を持つ事が判明された.
著者
河野 えみ子 福井 順子 今井 玲 寺村 重郎 井野 千代徳 山下 敏夫
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 = Stomato-pharyngology (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.199-207, 2003-02-28
参考文献数
4
被引用文献数
1

うがい効果を十分に得るためには, 含嗽剤の殺菌作用と機械的除菌作用を有効に活用することにある.また, 咽頭炎などの感染症には "咽頭型" のうがいを, 口内乾燥症には "口蓋型" のうがいと疾患別のうがい方法を考案して作成したパンフレットを用いてうがいの指導にあたってきた.うがい教室に参加した症例を対象として, うがい効果を検討した.<BR>口内乾燥症は「口がかわく場合」のうがい方法を6ヵ月実施後, 40%に自覚的に効果があった.手術を勧められた習慣性扁桃炎患者に「のどが痛い場合」のうがいを6ヵ月実施後, 53%が扁桃炎の発症が減少して改善がみられ, 今回手術を見送った.掌蹠膿疱症14例は「のどが痛い場合」のうがいを6ヵ月実施後, 10例に改善がみられ今回手術を見送った.
著者
丸笹 直子 中川 のぶ子 南 豊彦 井野 千代徳 山下 敏夫
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.373-376, 2000-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
5

興味ある味覚性発汗の2例を報告した。症例は26歳と55歳の男性で、主訴は共に小児期よりの食事中の両側の耳漏。視診上は異常なく、ヨード澱粉反応を応用してその実態を確認した。耳下腺の手術およびその周囲の外傷の既往はない。出生時の鉗子分娩が味覚性発汗の原因とする報告があるが、症例1は鉗子分娩を受けており、症例2はその疑いがあった。鉗子分娩による味覚性発汗の多くは幼児に発症するなど一致しないところもあるが他に原因もなく鉗子分娩による味覚性発汗と診断した。耳介側頭神経は外耳道入口部の耳垢腺にも分布しているのでauriculotemporal syndromeの一つと考えている。
著者
丸笹 直子 岩井 大 吉永 和仁 泉川 雅彦 金子 明弘 立川 拓也 山下 敏夫
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.237-241, 2001-02-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
11
被引用文献数
4

1988年1月から1997年8月までに, 関西医大耳鼻咽喉科で全身麻酔下に口蓋扁桃摘出術を施行された725例を対象とし, このうち術後出血例につき検討した.その結果, 11例 (1.5%) で術後出血が見られ, 6例 (0.8%) は再度の全身麻酔が必要な症例であった.習慣性扁桃炎の11~20歳の年齢層に術後出血が生じやすく, 出血部位は左に多く, 出血時期は術後24時間以内に多く見られた.扁桃摘出術に際し, こうした事項の認識が重要であると考えた.
著者
朝子 幹也 百渓 明代 川村 繁樹 池田 浩已 久保 伸夫 山下 敏夫
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.38-41, 2001 (Released:2012-09-24)
参考文献数
5

Patients consisting of 164 children aged 4-15 years were treated by a CO2 laser between July1995and October 2000. CO2 laser treatment of the inferior nasal turbinate is a useful procedure, which can be performed as outpatient surgery under local anesthesia. The short operation time and the good results provide excellent compliance by children. Follow-up was possible in 98 cases. Some 72.4% had excellent or good results after therapy. The patient group with multi-antigen allergy, was suppressed less effectively than those with the house dust-mite allergy. Therefore, the CO2 laser surgical technique can be considered as an effective method in the treatment of nasal allergy in children from a viewpoint of evidence-based medicine.
著者
岸本 麻子 浜野 巨志 南 豊彦 多田 直樹 中川 のぶ子 井野 千代徳 山下 敏夫
出版者
JIBI TO RINSHO KAI
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.326-330, 2002

反復性の耳下腺腫脹を主訴とした症例の中でも、アレルギーによるものは少ない。その中で、著者らは花粉症に関連したアレルギー性耳下腺炎を経験した。症例は38歳の女性で、花粉症により鼻閉が出現した後にしばらくすると左耳下腺が腫脹するという症状を認めた。患側の耳下腺から流出した唾液中には好酸球が多数認められ、アレルゲン検査ではスギ、ヒノキ、ブタクサが陽性であった。また、耳下腺造影ではステノン管の著しい拡張を認めた。本症例に対し抗アレルギー剤などによる治療を行い、今日まで約4年間にわたり良好なコントロ-ルが得られている。以上の経過より、この疾患の発生機序として導管の拡張によるアレルゲンの逆流を考えた。すなわち、鼻閉が出現した後にしばらくして耳下腺が腫脹する事実から、口呼吸により吸い込んだアレルゲンが口腔内に貯留して拡張した導管から逆流することにより耳下腺炎を生ずると考察した。
著者
井野 千代徳 稲村 達哉 岸本 麻子 岸本 由里 久保 伸夫 山下 敏夫
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.840-843, 1997-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
11

食事に関連し耳下腺腫脹, 顔面紅潮, 喘鳴などを主訴とする症例を報告した. 患者は35歳女性で医師. CTでは異常所見なく, 耳下腺造影でも大きな異常は認めなかつたが造影後に著しい耳下腺腫脹と顔面紅潮, 呼吸困難が出現した. 初診時の耳下腺唾液は混濁などなく清明であり, その塗沫にて多数の好酸球をみとめた. アレルギー性耳下腺炎と診断したが, その原因としてヨードを疑つた. 報告されている類似疾患のなかでもヨードが疑われた例があり, ヨードと唾液腺との関係についても考察を加えた.
著者
井野 千代徳 芦谷 道子 南 豊彦 浜野 巨志 中川 のぶ子 多田 直樹 小野 あゆみ 山下 敏夫
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.194-200, 2003-05-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1

昨今うつ病の増加が指摘されている。特に軽症うつ病の増加が注目されている。軽症うつ病とは身体症状が強いことに特徴があるが、その身体症状の中に耳鼻科医にとってなじみ深いものが多い。そこで、耳鼻咽喉科とうつ病との関係を調べた。対象とした疾患は耳鼻科医が一般外来でしばしば遭遇する疾患の中でその発症に心因性要素が関与するとされる疾患ないし症状のうち突発性難聴、低音障害型感音難聴、めまい、耳鳴、Bell麻痺、顎関節症、口内異常感症を対象とした。方法はSDSを用いた。結果、306人中56人がうつ病の範囲に入った。検査期間の4カ月に少なくても56人のうつ病患者が耳鼻科を受診したことになる。疾患別では口内異常感症が最もSDS値が高く、50例中23人46%がうつ病と判定された。他疾患がすべて18%未満であることより驚異的に高い数値と思われた。これからさらにうつ病の増加が指摘されている。耳鼻科医も積極的に対応すべきと考えている。
著者
久保 伸夫 中村 晶彦 山下 敏夫
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.98, no.8, pp.1263-1269, 1995-08-20
参考文献数
24
被引用文献数
6

成人178例に対し, 塩酸コカイン200mgとエピネフリン1mgを含んだガーゼタンポンによる表面麻酔下に内視鏡下鼻内手術を行い, 術前および術中の中枢症状, 脈拍, 血圧などの全身症状と術中の出血量, 手術時間を検討した. コカイン麻酔に伴うショック, 妄言, 呼吸抑制などの中枢症状と血圧の変動はなかったが, 毎分20回以上の脈拍の増加を26例で認めたが, 硫酸アトロピンを用いなかった症例では少なかった. 術中出血量は対象群とは有意差はなかったが, 手術時間は有意にコカイン使用群で短かった. コカインは200mg用いて安全であり, 粘膜微小血管からの滲出性出血を抑制することで, 手術時間を短縮すると思われた.
著者
多田 直樹 南 豊彦 中川 のぶ子 浜野 巨志 小野 あゆみ 井野 千代徳 金子 明弘 山下 敏夫
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.18-23, 2004-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
22
被引用文献数
1

顎関節症にはさまざまな全身症状の合併が認められ、中でも耳閉塞感をはじめとする耳症状の合併は古くから報告されているが、その成因に関してはいまだに明確ではない。今回われわれは顎関節症患者76名を対象として、まず耳閉塞感を訴えた患者の割合を算出し耳閉塞感の有無それぞれの中で顎関節症のI型からIV型まで分類した。次に耳閉塞感を伴う顎関節症患者に対して耳管機能検査を施行した。その結果耳閉塞感を訴えた症例が44名 (57.9%) で、耳閉塞感を訴えなかった症例は32名 (42.1%) であった。また耳閉塞感のあった症例での顎関節症の分類はIII型が最も多く、I型、IV型はわずかであった。一方耳閉塞感のなかった症例は耳閉塞感のあった症例と比較してIII型がわずかで1型が大きな割合を占めていた。耳管機能検査は耳閉塞感を伴う顎関節症患者44名中37名に施行した。その結果37名中23名 (65%) が開放パターン、1名 (3%) が狭窄パターン、13名 (32%) が正常パタ-ンであった。今回の検討結果から顎関節症に伴う耳閉塞感の原因は耳管開放症によるものと思われた。
著者
大前 麻理子 岩井 大 池田 耕士 八木 正夫 馬場 奨 金子 敏彦 島野 卓史 山下 敏夫
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.393-398, 2005-06-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

耳下腺多形腺腫症例60例についてMRIT2強調画像の信号強度と病理像とを比較し, 検討を行った.MRIT2強調画像の信号強度を3タイプに分類したとき, 正常耳下腺組織より著明に高い信号を示すタイプは, 45例75%に認められた.軽度高信号から等信号を示すタイプは9例15%, 低信号のタイプは6例10%であった.これらの症例それぞれの病理像を見ると, 粘液腫様・軟骨腫様間質は高信号領域に相当し, 一方, 細胞の密な領域は軽度高信号から等信号領域に, 線維性結合織は低信号領域に一致した.耳下腺多形腺腫はMRIT2強調画像で一般に高信号を示すとされるが, 今回の検討では, 等信号からそれより信号の低いタイプが全体の25%に認められたことになる.耳下腺腫瘍で多数を占める本腫瘍の, MR所見における特徴の把握が, この腫瘍の診断と他の耳下腺腫瘍との鑑別に有用であると考える.