著者
稲田 準子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.394-397, 1968-10-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4

1. 家事労働に影響する要因の一つとして、主婦の家事労働についての態度を調査し、生活時間や疲労考察の基礎資料を得ることを目的とする。2. 主婦347人を対象とし、調査用紙により、参考項目を含め14項目に分類した家事労働について、5段階法で好みを調査した。3. 好きとやや好きを好反応群、嫌いとやや嫌いを嫌反応群とし、反応率に基づいて家事労働を分類し、上位群 (洗たく。料理、掃除、裁縫) と下位群 (食事のあとかたづけ、アイロンかけ、家計簿) とを比較すると、他の諸調査と類似の傾向を示し、労働強度における一般的差はあまりみられず、上位群における機械化傾向に対し下位群では機械化が少ない。なお、作業順序からみると、下位群では一般に後にくるものが多い。4. 項目間の関係を調べるために、好みについて、12項目66の絹関係数を求めた。最も相関が高い項目は、掃除と洗たくで、相関係数.594であり、つぎに、身の回りと外出、掃除とアイロンかけ、洗たくとアイロンかけ、料理と身の回りがつづいた。5. 4人家族 (夫婦と子ども2人) について、家事労働時問を好嫌反応群別に比較した。好反応群が時間が長いのは料理、裁縫であり、嫌反応群の方が時間が長いのは、食事のあとかたづけであった。6. 年令別に、35歳以下 (若年令群) と36歳以上 (中高年令群) の群に分けて比較すると、料理が若年令群に、裁縫が中高年令群により好まれていた。7. 年令を、20歳台、30歳台、40歳以上と3群に分けて、好き反応を比較すると、料理、裁縫には年令に伴う変化がみられ、料理は20歳台に、裁縫は40歳台により好まれるという相反する傾向を示した。掃除については2群比較では統計的に有意差がみられなかったが、3群比較において、裁縫と同様、年令の増加に伴い好き反応が増加する傾向を示した。家計簿については、3群間に統計的に有意な差はみられなかった。8. 家事労働についての好みと、家事労働の内容、家事労働時間との関連については、今後さらに検討報告したい。