著者
今村 易弘 小林 左東司 稲積 彦二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.486-494, 1995-05-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
12

横型液噴射気体吸引エジェクターの気液接触装置としての性能特性に大きく関わる気液の挙動およびガスホールドアップ, εG, と主要因子との関係を実験的に検討した.スロート部内の流動様式は気泡発生および気液の混合状態により, 概ね3種類に大別できる。また, 本報で提示した流動モデルによる流動パラメーターは既往の定常的流動モデルによるそれよりも妥当であることを示し, かつこれに基づいてεGとその主要因子との相関関係を検討した.εGは液流量の増加とともに減少し, 逆に気体流量の増加とともに増大する.また, εGは気体体積流量分率, βの増加関数であり, βの値とはかなり異なることが分かった.多孔ノズルおよび単孔ノズルに関し, εGと操作因子との関係を検討した結果, 実測値を±20%の精度で推算できる相関式を得た.

1 0 0 0 OA XX 調湿

著者
稲積 彦二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学 (ISSN:03759253)
巻号頁・発行日
vol.29, no.10, pp.807-813, 1965-10-05 (Released:2010-10-07)
参考文献数
23
被引用文献数
1

化学工学における調湿という分野のカテゴリーは, 周知のように空気一水系の調湿操作から出発し, その後久しく実質的な変化は見られなかったが, 近年この分野の研究が発展するに伴って, 一般ガス-液系の調湿操作をも含めた不溶性ガスと純液との接触操作にまで拡張されてきている。しかしながら, 近年諸種の目的で空気またはガスの調湿を必要とされる場合が急増しており, また同時にそれらの目的条件の範囲もかなり拡大してきた。しかして今後このような事情に対処して行くためには, 上述のようなカテゴリーにこだわらず, 広い視野に立ってそれぞれの目的, 条件に対してもっとも適切な手法を選択し, かつ合理的に適用できる基礎を確立する必要がある。このような意味あいにおいて, 本レビューでは上述の調湿のカテゴリーに, 今後比較的広く実用に供されると考えられる冷却凝縮器による減湿, 液体吸湿剤による減湿および固体吸着剤による減湿の諸操作を加えて, 「化学工学便覧 (新版)」が執筆されて以後に現われた研究成果について紹介した。なお混合蒸気の凝縮や自然対流における熱と物質の同時移動などの現象は調湿操作と共通な問題を種々含んでおり, 興味も多いのであるが, 紙面の都合で割愛した。
著者
加藤 覚 稲積 彦二 鈴木 孝典 羽田 豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.255-260, 1980-05-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
8

濡れ壁塔を用いて, 乱流で流れる気流中への2成分系混合液の蒸発実験を常温, 常圧のもとで行い, 各成分の物質移動速度を測定して, 従来提案されている分子拡散に対する対角化法の拡張適用性を検討した結果, 拡散成分の濃度が希薄な範囲でも適用できない場合があることを示し, また, その適用できる条件範囲を実験的に確かめた.また, 一般化されたFickの拡散方程式を線型化した結果に基づく物質移動速度の近似表示法について考察し.比較的簡便な表示法を提案するとともに, その適用条件の判定方法を実測値に基づいて明らかにした.さらに, 実測値に基づいて, 3成分系気相における2成分の物質移動速度の取り扱いを1拡散成分と非拡散成分とから成る2成分系における一方拡散として扱いうる条件を確かめた.
著者
加藤 覚 稲積 彦二 鈴木 孝典
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.246-253, 1982-05-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

Stefan-Maxwellの方程式に基づいて3成分系気相における2成分の物質移動速度の表示法と推算法を誘導し, これを実験的に検討した.まず, 境膜モデルに基づいて各拡散成分によって異なる有効拡散距離を定義し, これを実験によって求めて, その妥当性を確かめた.ついで, 境膜モデルに基づく物質移動速度の推算法を誘導し, この方法の妥当性を実測値を用いて確かめた.また, 3成分系における物質移動速度に影響を及ぼす要因について検討し, 3成分系に特有な挙動が顕著に現れる条件範囲においては, 二つの拡散成分の問の拡散の効果が支配的であることを示した.
著者
加藤 覚 稲積 彦二 鈴木 孝典
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.15-22, 1980-01-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
14

濡れ壁塔を用いて, 2成分系混合液の乱流で流れる空気流中への蒸発実験を行い, 次の知見を得た.拡散成分の濃度が希薄な場合には, 一つの拡散成分が拡散流束によって他方の拡散成分の移動速度に及ぼす影響は小さい.しかし, 各拡散成分の移動速度が大きく異なる場合には, 大きな移動速度をもつ成分が対流項(bulk flowを指す)を通じて他方の拡散成分の移動速度に及ぼす影響は著しく大きい.この場合に対して非拡散成分を含む3成分系気相における物質移動速度と2成分系における一方拡散の場合のそれとを関連づける因子を提案し, それらの間の相関関係を明らかにした.さらに, この関係に基づく各拡散成分の物質移動速度の推算値が, 着目成分や各成分の濃度および系によらず実測値とおおむね一致することを示した.