著者
稲葉 維摩
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.324-321, 2011-12-20
著者
稲葉 維摩
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.1124-1129, 2013-03-25

動詞jay-/ji- (jaya-ti, Pa. jaya-ti, je-ti)「(戦いや賭博に)勝つ,〜を勝ち取る,〜を負かす」とjya-/ji- (jina-ti, Pa, jina-ti)「人(acc./gen.)から物(acc.)を奪う,〜を暴行する」,(jiya-te, Pa. jiya-ti, jiyya-ti)の「〜を奪われる,失う」は,その形態や意味から,明確に別々の言葉である.しかしパーリ語では,いくつかの点で語形や意味が重なり,本来の姿が不明瞭になる.本稿では,パーリ語三蔵(実際には経律蔵)と蔵外文献とにおいて,基本的な語形と意味を示す現在形と使役形の用例を整理した(なお,jiya-te, Pa. jiya-ti, jiyya-tiについては,本稿において取り上げなかった).ヴェーダ文献において,両者は明確に別々の言葉として用いられているが,しばしば語形や意味の点で混同される例が,先行研究によって指摘されている.パーリ語において,両者はヴェーダ文献と同様それぞれの基本的な意味において用いられる一方,jina-tiがjaya-ti「勝つ,勝ち取る,負かす」の意味で盛んに用いられている.パーリ語japaya-tiはjay-/ji-の使役形japaya-tiとjya-/ji-の使役形jyapaya-tiのどちらにも由来しうるが,意味の点から,jyapaya-tiがに由来すると考えられる.パーリ語において,明確に使役動詞として用いられている例の他,解釈の余地のある例があったが,これについては,さらなる検討を必要とする.
著者
稲葉 維摩
出版者
大谷大学
巻号頁・発行日
2014

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