著者
穐丸 武臣 丹羽 孝 勅使 千鶴
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.57-78, 2007-06-23

本研究は幼稚園と保育所の保育教材として導入されている「伝承遊び」の実施状況と保育者の認識について、郵送法によるアンケートの全国調査を分析したものである。調査対象は全都道府県の都市部とそれ以外の市町村から多段階抽出法によって幼稚園568ヵ園、保育所590ヵ所、合計1158ヵ所を抽出した。回収数は651ヵ所、回収率は約56%であった。その結果、日本ではほぼ全て(99%)の幼稚園・保育所において伝承遊びが実施されており、保育教材として活用されていた。保育活動への伝承遊び導入の理由は、(1)子どもの成長や発達に有効であること、(2)日本の遊び文化の継承のためとするものであった。しかし、伝承遊びを普及・充実する際の隘路としては、幼稚園教諭と保育士(以後 保育者)自身の伝承遊びに対する力量不足を認識しており、研修の必要を認める結果であった。