著者
立野 広樹 萩野 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.86, pp.99-106, 2000-05-18

本研究では、JavaによるTCP / IPプロトコルスタックの設計と実装を行う。Javaでシステムモジュールを記述した場合、Java仮想機械が搭載されているすべてのOSにおいて、即時に実行可能なOSを実現する事ができる。この手法は、プロトコルスタックに限定する必要はなく、その他のシステムモジュールにも適用する事ができる。しかし、この手法には様々な問題点が存在する。まず、Javaはハードウェアへの直接的なアクセス方法を提供していない。また、JavaはC言語の持つ高度なシステムプログラム記述力を持っていない。そのため、制限された記述でどのようにシステムモジュールの設計実装を行うかという点も問題となる。本研究では、これらの問題に対する解決策を提案し、Javaで記述されたプロトコルスタックの設計と実装を行った。また、Javaによるプロトコルスタックの実現可能性と利点、性能の評価を行った。性能を評価した結果、JRE1.2.2上でpingレーテンシ0.62msec.、UDPスループット521KB / sec.といった測定結果を得た。以上の結果により、Javaを用いたシステムモジュールの十分な実現性を示した。