著者
王 竺 平木 敬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.155, pp.209-213, 2014-07-21

近年Node.jsの特長を生かされ,ウェブアプリケーションを開発するときにNode.jsがよく使用されている.しかし,Node.jsはシングルスレッドの実装であるため,同時に複数のタスクのCPU処理を同時に行うことができない.特にCPU-boundタスクを処理する際バまかのタスクがブロックされて,応答性が劣っている.このような問題を解消するために,子プロセスのプール生成かマルチスレッド化による静的にスケールアウトして並列処理方法通常に採用されている.しかし,既存のツールを利用してマルチスレッド化をする際に安定性と機能性が失うことがあり,子プロセスを生成する手法では,子プロセスの数は実行時に変更できないため,タスクの数が増加するにつれ,並行処理し切れないケースも存在する.これを改善するために,本稿では自動スケーリングによる並行処理の手法を提案する.また比較実験を行い,改善の効果を示した.
著者
大崎 勝彦 Moore Charles
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.94, no.14, pp.35-42, 1994-04-21

コンピューターの発達の流れに於けるRISCプロセッサーの位置付けを行い、その中で、コンパイラー効率の向上に寄与する命令体系の確立が重要であるとの認識の下に、当社開発のRISC技術である"PowerPCテクノロジー"の解説を行い、重要な設計要件を考察している。また、VLSI化に当たっての今後の問題点を指摘する。そして、その応用として二つの流れ、即ち、"汎用化"と"固有化"がどのように図られていくかを述べる。最後に、MPUと文化的背景についても述べる。
著者
保田 淑子 川本 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.487, pp.1-6, 2005-12-09

フラグメンテーションの発生によるファイルアクセス性能の低下が問題となっている大容量ファイルサーバにおいて, 既存ファイルシステムの変更なしにオンラインで自律的にフラグメンテーションを解消可能なIPストレージ接続型ファイルサーバ向け自律デフラグ機能を提案する. 自律デフラグ機能の有効性を検証するため, フラグメンテーション発生時のディスクアクセスパタンを解析し, ユーザとファイルシステムのアクセスの混在とアクセス単位の細粒化により, ディスクの連続領域へのアクセスが全ディスクアクセス数の5%にまで落ち込むことを明らかにした. ユーザとファイルシステムのアクセスを分類してからデータを再配置するマルチステップデフラグ方式を提案し, SCSIコマンドトレースを用いた提案方式の効果見積もりにより, ディスクの連続領域へのアクセスを全アクセスの17%にまで増加させ, ディスクアクセス性能を向上できる見通しを得た.
著者
坂本 博和 柴田 裕一郎 小栗 清
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.476, pp.83-88, 2004-11-25

再構成可能デバイスの普及に伴い,これを容易に利用するための環境が整いつつある.しかし依然としてハードウエア開発技術者の不足が懸念されており,技術者の育成が待たれている.そこで我々はこの技術者教育用の教材として,任天堂から1983年に発売されたファミリーコンピュータを教材として活用することを考え,FPGAへの実装を行った.実装にはXilinxのSpartan-2E300を搭載した市販の評価ボードを使用した.ハードウエア記述言語にはNTTで開発されたSFLを使用し,実装に1ケ月半を要した.実装したファミコンはインターフェースとしてROMカートリッジコネクタ,VGA,サウンド,パッドを搭載し,初期のROMカートリッジにおいて高い互換性を実現している.
著者
西川 尚紀 岩井 啓輔 黒川 恭一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.168, pp.49-54, 2009-07-28
被引用文献数
3

近年,GPUを用いた高性能計算が注目されている.GPUは,価格性能比に優れ,並列度の高いアプリケーションでは,安価なシステムで高い効果を発揮することができる.最近の世代のGPUでは整数・論理演算命令がサポートされ,同演算を用いたアプリケーションの実装が可能になった.本稿では,GPUを用いて暗号アルゴリズムDESに対するパスワードクラックを実装した結果について報告する.実装したプログラムでは,一度のジョブ発行で2^<35>乗個の鍵空間を探索することが可能である.DESの鍵空間に対しては,NVIDIA Geforce GTX 285を用いて約7.4時間,Intel Core i7-920 2.66GHzと比較して約9倍の速度で鍵探索が可能であった.その結果を元に,GPUの高速性を生かした暗号アルゴリズムに対するパスワードクラックの可能性を検討する.
著者
仲野 巧 板橋 光義 Utama Andy 塩見 彰睦 今井 正治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.93, no.516, pp.79-86, 1994-03-17
被引用文献数
1

本稿では,PARTHENONを用いたシリコンTRONの設計と評価について報告する.実時間処理システムでの高速な応答性を達成するために,リアルタイムOS(μITRON)の基本機能をハードウェアで実現した.性能評価の結果,シリコンTRONは,4クロックまでシステムコールの機能を実現できた.さらに,リアルタイムOSのためのソフトウェアの機能とハードウェアの性能ベースとしたシステム仕様の決定が可能となるハードウェア, ソフトウェア協調設計を提案する.
著者
菊池 之裕 村越 英樹 舟久保 登
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.97, no.524, pp.37-44, 1998-01-30
参考文献数
5
被引用文献数
1

本論文ではニューラルネットを利用した論理型言語処理系を提案する. 論理型言語で記述されたプログラムをニューラルネットワークへ変換し, ニューラルネットの最適化機械としての能力の適用範囲を論理型言語に記述された問題へと広げるものである. 著者らは以前, ニューラルネットを利用した論理型言語の推論機構について提案を行ったが, Prologの特徴の有意義なデータ構造の一つであるリスト構造については考慮されておらず. 言語処理系としては不完全であった. そこで我々は, リスト構造を考慮した動的なネットワーク構造を固定する変換機構を提案し, その評価を行った. 結果, 効率の改善がみられ, 処理系の完成度を高めた.
著者
神戸 隆行 守山 朋弘 吉松 則文 村上 和彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.328, pp.27-32, 2011-11-22

クラウド・コンピューティングの普及に伴い、開発ツールを提供する際にオンライン・サービスとしての提供、即ちTool as a Service(TaaS)とでも言うべき方法によりユーザ側の利用コストを低減することが可能になってきた。しかし、開発ツールを新規にTaaSとして開発することは開発側にとって大きな負担となる。そこで我々は既存の開発ツールをそのままTaaS化するPlatform for TaaS(PTaaS)、特に堅牢性、可搬性と相互運用性、短い応答時間、柔軟な計算機資源調達に優れると期待される分散ビルド型PTaaSを提案し、その実現の詳細を検討する。
著者
高瀬 英希 冨山 宏之 高田 広章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.558, pp.109-114, 2008-03-20

本研究では,マルチタスク環境にスクラッチパッドメモリを活用することにより,組込みシステムの命令メモリにおける消費エネルギーの削減を目指す.固定優先度付きの周期タスクが複数存在するシステムに対応した,スクラッチパッドメモリ領域分割方針を提案する.提案するスクラッチパッドメモリ領域分割方針は,領域分割法,時間分割法,および混合分割法の3種類である.各方針について,タスクごとの領域分割およびコード割当てを同時に決定可能な整数計画問題として定式化する.評価実験を行い,提案手法の有効性を確認した.
著者
石崎 一明 川人 基弘 今野 和浩 安江 俊明 竹内 幹雄 小笠原 武史 菅沼 俊夫 小野寺 民也 小松 秀昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.252, pp.17-24, 1999-08-05
被引用文献数
1

Javaはプログラムの安全性のために、例外チェックやポインタを排除したオブジェクトへのアクセスなど、他の言語より大きなオーバヘッドを持つ。またプログラムの柔軟性を提供するために、型検査、動的なクラスリンク、オブジェクトを伴ったインスタンスメソッド呼び出し、を提供している。これらの特徴を失うことなくプログラムの性能を改善するためには、実行時にバイトコードからネイティブコードへコンパイルを行うJust-In-Time (JIT)コンパイラが必須である。本稿では、JITコンパイラへ実装した以下の最適化、定数伝搬、不要コードの除去、例外チェックの除去、共通部分式の除去、型検査の単純化、メソッド呼び出しのインライン展開、メソッド呼び出しの一意決定、について述べる。さらに、9つのプログラムの実行結果より、これらの最適化が効果的であることを示す。
著者
井上 弘士 Moshnyaga Vasily G. 村上 和彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.27, pp.55-60, 2002-04-12

これまでに我々は,ダイレグト・マップ命令キャッシュの低消費エネルギー化を目的として,ヒストリ・ベース・タグ比較(HBTC:History Based Tag-Comparison)方式を提案した.従来型キャッシュでは,ヒット/ミス判定のために,タグ比較が毎アクセス実行される.これに対し,HBTCキャッシュでは,プログラムの実行履歴に基づき必要に応じてタグ比較を行う.そして,無駄なタグ比較処理を動的に検出・削除し,命令キャッシュの低消費エネルギー化を実現する.本稿では,これまでに提案したHBTCキャッシュを改良し,オーバヘッドの小さい新しい実現方式を示す.また,信号処理アプリケーションを中心としたベンチマーク・プログラムを用いて,性能ならびに消費エネルギーに関するより詳細な評価を行う.
著者
佐藤 一輝 バルス バートルスレン 関根 優年
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.413, pp.19-24, 2009-01-22
被引用文献数
4

近年,FPGAをHPC用途に使用する例が増加しつつある.我々は,大規模FPGAを搭載し,三次元方向にI/Oを装備した小型カードを大量に集積したものをFPGAアレイとして提案している.このFPGAアレイは,規模を任意に増減できるスケーラブルな設計であり,さらにホストPCから容易に制御を可能としたものである.本稿では,ポアソン方程式を浮動小数点数で差分法によって演算する回路をこのFPGAアレイに実装し,演算性能と消費電力について評価を行った.また,演算回路を多数並列に実装して大規模並列演算を行い,演算性能が1[TFlops]を達成するために必要なFPGAアレイの規模を示した.
著者
中垣 憲一 井上 弘士 久我 守弘 末吉 敏則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.94, no.257, pp.17-24, 1994-09-22
被引用文献数
17

先進的計算機システムの基礎技術を理解・修得させるための教材として,上級コース向き教育用マイクロプロセッサDLX-FPGAの開発を行った.プロセッサ・モデルとしてJ.L.Hennessy and D.A.Patterson著"Computer Architecture:A Quantitative Approach"で紹介されているDLXアーキテクチャを採用し,実装デバイスとしては再構成可能なFPGAを用いている.本稿では,この教育用マイクロプロセッサDLX-FPGAの特徴と設計仕様を述べ,回路図入力による設計例とVHDLによる設計例を示す.また,複数のFPGAを用いた実装,ならびにその動作検証を行うDLX-FPGAボードのラピッド・プロトタイピングについて報告する.
著者
後藤 正徳 佐藤 充 中島 耕太 久門 耕一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.287, pp.7-12, 2006-10-06
被引用文献数
8

近年のPCクラスタで使用されているインタコネクトは高性能化し,メモリバンド幅のスループット性能に近付きつつある.そこで,我々は高速インタコネクトを使用し,遠隔ノードのメモリをスワップとして用いる遠隔スワップメモリ技術の実現可能性を検討している.評価を行うために,我々は遠隔スワップメモリシステムNuzuraを実装した.Nuzuraは10Gb Ethernet上でRDMAを実現するNIC UZURAと,これを用いたネットワークブロックデバイスRNBDをスワップデバイスとして用いる.評価に際しては,本システム上で搭載メモリの数倍を要求する複数のHPCアプリケーションを実行し,性能を測定した.実験結果から,アプリケーションのメモリアクセスパターンや遠隔スワップメモリの使用比率に応じて性能オーバヘッドが異なることを示した.また,ページ置換方式の変更によって姫野ベンチマークの性能が4倍近く向上することを示した.
著者
川本 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.537, pp.19-28, 2004-12-13

カルフォルニア大学バークレー校とスタンフォード大学はITシステムの可用性向上を主眼として,共同研究プロジェクトRecovery Oriented Computing(ROC)を推進している。著者は一年間スタンフォード大学に滞在しROCの中核技術の一つであるMicrorebootの研究に携わった。本稿ではROCの概要とMicrorebootの実現と評価について紹介する。ITシステムにソフトウェア障害が発生したとき,その多くはシフトウェアを再起動することによって復旧することが多い。Microrebootは,ソフトウェアのうち障害の発生したコンポーネントのみを再起動することによらて,ソフトウェア全体を再起動する場合に比べ早期にサービスを復旧し,システムの可用性を向上する技術である。評価実験より,Microrebootはソフトウェア全体の再起動に比べ可用性を一桁向上できるごとが分かった。
著者
川中 洋祐 若林 真一 永山 忍
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.413, pp.189-194, 2009-01-22

本稿では,ネットワーク侵入検知システム(NIDS)におけるパケット検査に対するパターンマッチングのための専用ハードウェアの構成を提案する.提案する専用マッチングマシンは,NIDSソフトウェアSnortで採用されている正規表現に基づくウィルスパターン記述を入力とし,高速にマッチングを実現する.提案専用マッチングマシンは,ウィルスパターンの更新に瞬時に対応するため,回路構成がパターンに依存する従来方式のマッチングマシンと,我々が提案しているパターンを実行時に設定できるマッチングマシンで構成されている.
著者
田中 清史 松本 尚 平木 敬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.98, no.233, pp.31-38, 1998-08-04

並列/分散システムにおいて、汎用かつ容易なプログラミング環境を提供するために共有メモリが必須である。本稿では階層コヒーレンス管理および一般化されたコンバイニングのサポートにより効率の良い分散共有メモリを軽いハードウェアで実装する方式を述べる。我々の方式においてディレクトリに必要なメモリ容量はクラスタ数の対数オーダーである。このことから、超並列システムを構築する場合に各メモリブロックについて1ワード程度用意すれば十分であり、ディレクトリのアクセスコストも低い。並列計算機プロトタイプお茶の水5号上に軽いハードウェアDSMおよび一般化されたコンバイニングを簡単なハードウェアで実装した。実際のプログラムを実行してお茶の水5号の性能を測定した結果、我々の方式が並列化の効果を得ることが示された。
著者
小野内 雅文 斉藤 康祐 藤島 実 鳳 紘一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.102, no.611, pp.67-72, 2003-01-22
被引用文献数
1

問題の規模に応じて指数関数的に処理時間を要した整数問題(NP問題)を、量子力学の重ねあわせを利用した量子コンピュータは高速に解けるため、近年注目を集めている。しかし、量子現象を直接用いる量子コンピュータでは、ハードウェアを用いる周囲の環境の影響を受け、実用的な規模のアーキテクチャを構築することが困難である。そこで、量子コンピュータと同等の演算能力を持ち、実用的なアルゴリズムを実行可能なアーキテクチャを実現すべく、FPGA内部で大規模な並列演算を行う量子計算エミュレータを試作した。その結果、NP問題である充足可能性問題(SAT問題)を解くために必要な時間は、従来のコンピュータと比較し数百分の1となった。これにより、集積回路の並列性を利用し、量子コンピュータの計算能力に匹敵するプロセッサの可能性を示すことができた。
著者
鴨志田 良和 金田 憲二 遠藤 敏夫 田浦 健次朗 近山 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.199, pp.19-24, 2006-07-26
被引用文献数
2

我々は,多数の計算機の効率的な監視と,対話的なコマンド投入を行うシステムVGXP(Visual Grid eXPlorer)を開発している.VGXPは面倒な個々の計算機へのインストールが不要で高速な並列コマンド投入が可能なGXPを拡張したシステムで,計算機のリソース利用率の監視と可視化機能を追加したものである.VGXPを使うと各計算機でのリソース利用率が図示されるので,クラスタの混み具合や負荷分散のバランスを一目で把握することができ,並列プログラムの開発やテストに役立てることができる.また,監視のために各計算機で必要なCPU負荷は約2%程度で,6拠点にまたがる約600台の計算機を監視した場合でも表示ノードにかかるCPU負荷は20%程度と,低負荷で監視を行うことができる.本稿では,これらの機能の実現方法や,監視のための情報収集の性能について説明する.
著者
姫野 龍太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.225, pp.1-6, 2005-07-28

複数のPCクラスタ、ベクトル並列計算機、さらに分子動力学専用機を内蔵したクラスタという三種類の異なるコンピュータをGbitEthernetで結び、グリッド技術で結合したRSCC(Riken Super Combined Cluster)システムを昨年富士通、NEC、日本IBMと開発した。このシステムでは、ユーザーが持つ種々のアプリケーション・ニーズにより柔軟に対応するために、このような異機種複合システムとなっている。また、グリッド技術やウェッブ技術を使い、どのユーザーにも統一された使い勝手をサービスできるように配慮した。稼働から1年が経過したが、故障は当初予想よりも少なく、順調に使われている。一方で、今後マルチフィジックス、マルチ・スケールといった新たな計算ニーズの増加が予想されているが、今回のシステムでは異機種間を結ぶ通信の帯域が十分ではない。このようなニーズに対応すべく、2010年度末完成を目指した、次期複合システムの構想をまとめた。この概要もここで紹介する。