著者
竜田 徹
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育
巻号頁・発行日
vol.83, pp.24-32, 2019

<p>本研究では、想起とはどのような行為なのか、またそれにはどのような意義があるのかについて、発達心理学者・岡本夏木の論考を手がかりに検討した。研究は次の手順で行った:(1)国語教育において想起に関する研究が求められる背景の検討。(2)岡本夏木の論考を取り上げる理由の検討。(3)想起に関する理論的検討。(4)まとめ―国語教育への示唆の検討―。検討の結果、想起は存在的意味と記号的意味の循環的な獲得を促進するエネルギーであることが明らかになった。学習者の自律的な言語学習能力の育成において、想起のプロセスを学びの対象にすることには大きな可能性があると考えられる。</p>