著者
竹中 英紀 倉沢 進
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.36, pp.p5-23, 1989-03

本稿では,東京・練馬区光が丘パークタウンで実施した調査結果を素材として,大規模ニュータウンにおける<住宅階層>の問題について論じた。主なファインデイングスは次の通りである。第1に,所得の不平等を住宅の平等化として是正するはずの公的住宅政策は,階層的区分を誰の目にも見えるように「空間化」することによって,あらたな差別の形態を生み出している。第2に,このことによる居住者の相対的な均質化と相互隔離が,各住宅階層に固有な<生活様式>の下位類型分化を促進する作用をおよぼしている。そして第3に,地位や生活水準の格差のみならず,こうした生活様式の異質性が,ニュータウンにおける社会的葛藤・紛争を生起させる大きな要因となっている。