著者
三河内 岳 竹之内 惇志 東 浩太郎 ゾレンスキー マイケル
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

小惑星2008TC<sub>3</sub>起源と考えられるAlmahata Sitta隕石は ユレイライトを主体とするポリミクト角レキ岩である。近年見つかった破片のMS-MU-011とMS-MU-012は、ユレイライトと同じ酸素同位体組成を持つものの、それぞれトラキアンデサイト質の火成岩(MS-MU-011)および斜長石を含むユレイライト(MS-MU-012)である。MS-MU-011は、主に長石と小量の輝石からなり、Fe-XANES分析によって得られた長石のFe<sup>3+</sup>/(Fe<sup>2+</sup>+Fe<sup>3+</sup>) 比は0.30~0.48で、部分溶融液として残渣のユレイライトから分離後に酸化的環境になってから結晶化したと考えられる。我々が分析したMS-MU-012には斜長石は認められなかったが、典型的な含オージャイトユレイライトの組織・鉱物組成を示した。カンラン石の還元リムでのFe-Mg組成変化から1200~700度での冷却速度は0.2度/時であり、ユレイライトの典型的な冷却速度と一致する。MS-MU-012は他のユレイライトと同様に高温での天体破壊を経験したが、何らかの理由で、斜長石が取り除かれること無く残ったと考えられる。