著者
三河内 岳
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.220214, 2022 (Released:2022-04-30)
参考文献数
89
被引用文献数
1

For the past 30 years, I have performed a mineralogical study of various kinds of extraterrestrial materials focusing on evolution processes of Solar System bodies. The samples analyzed range from primitive chondritic materials returned by spacecrafts to differentiated meteorites including Martian and lunar samples. The first of these analyzed meteorites was an angrite, one of the oldest known achondrites, in collaboration with researchers at NASA's Johnson Space Center, USA. I pointed out the importance of olivine xenocrysts by studying many quenched angrites and showed that bulk compositions of quenched angrites were controlled by resorption degrees of these xenocrysts. Soon I became involved in studying Martian meteorites. In my early works, I found that some shergottite Martian meteorites experienced undercooling of magma and represented parent magma compositions by combining crystallization experimental results. I also revealed that nakhlite Martian meteorites had correlated petrography and mineralogy that could be explained by crystallization at different locations (burial depths) in a common cooling cumulate pile. The presence of remarkable shock features (e.g., darkening of olivine) in Martian meteorites is striking, and it appears that prolonged post-shock heating history largely erased the high-pressure polymorphs in many cases. My research deals with primitive solar system materials including Wild 2 cometary particles and Itokawa asteroidal particles. Studying these samples using electron beam and synchrotron radiation analyses has strengthened the interpretations of their origins. Another important tool employed is electron backscatter diffraction (EBSD) analysis. I applied this technique to identify several new minerals such as dmitryivanovite, andreyivanovite, and kushiroite in early 2000s. EBSD was also used to analyze preferred crystallographic orientation of olivine in brachinites, revealing rigorous magmatic and/or rheological activities in the parent body. At present I am analyzing Ryugu samples returned by the Hayabusa2 spacecraft as a preliminary analysis team member, which broadens our understanding of the formation and evolution processes of solid materials in the early Solar System.
著者
東 浩太郎 長谷川 輝 三河内 岳 Michael Zolensky
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

様々な隕石種の岩片を含む角レキ岩隕石であるKaidun隕石中に見つかった2つの岩片について鉱物学的研究を行った。1. ブラチナイト隕石と考えられる岩片は、主にカンラン石から成る約0.4x0.4mmの岩片で、カンラン石組成はブラチナイトと似ており、ブラチナイトのタイプ標本であるBrachina、ブラチナイトの一種であるNWA 1500と近い特徴も確認された。BrachinaはMn-Cr年代が4564.8±0.5 Maを示すことから、Kaidun母天体の形成はこの年代より若い可能性がある。2. 水質変成を受けたEコンドライト岩片は、岩片の両端約1mmの範囲で中央と比べ一部の元素の含有量が明らかに少なくなっており、端層において欠如している鉱物、EPMAの定量分析での収量が低く組成にばらつきのある複数種の物質の存在が確認された。以上の特徴より非平衡な変成を受けており、水質変成を経験したことが示唆される。水質変成を受けた層はCコンドライトと接しており、この岩片の成因に関連した可能性がある。
著者
三河内 岳 竹之内 惇志 東 浩太郎 ゾレンスキー マイケル
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

小惑星2008TC<sub>3</sub>起源と考えられるAlmahata Sitta隕石は ユレイライトを主体とするポリミクト角レキ岩である。近年見つかった破片のMS-MU-011とMS-MU-012は、ユレイライトと同じ酸素同位体組成を持つものの、それぞれトラキアンデサイト質の火成岩(MS-MU-011)および斜長石を含むユレイライト(MS-MU-012)である。MS-MU-011は、主に長石と小量の輝石からなり、Fe-XANES分析によって得られた長石のFe<sup>3+</sup>/(Fe<sup>2+</sup>+Fe<sup>3+</sup>) 比は0.30~0.48で、部分溶融液として残渣のユレイライトから分離後に酸化的環境になってから結晶化したと考えられる。我々が分析したMS-MU-012には斜長石は認められなかったが、典型的な含オージャイトユレイライトの組織・鉱物組成を示した。カンラン石の還元リムでのFe-Mg組成変化から1200~700度での冷却速度は0.2度/時であり、ユレイライトの典型的な冷却速度と一致する。MS-MU-012は他のユレイライトと同様に高温での天体破壊を経験したが、何らかの理由で、斜長石が取り除かれること無く残ったと考えられる。
著者
内田 慎一 藤森 淳 浦辺 徹郎 砂村 倫成 坪野 公夫 須藤 靖 三河内 岳 佐藤 哲爾 二宮 哲平
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース (ISSN:21873070)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.5-9, 2013-03

退職にあたって/内田慎一先生を送る/定年の今送る「手紙~拝啓十五の君へ~」/浦辺徹郎先生を送る/時代はまわる/坪野公夫先生を送る/宮本正道先生を送る/前へ!/定年後の8万時間
著者
鳥海 淳 三河内 岳 宮本 正道
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
日本鉱物学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.146, 2003 (Released:2004-07-26)

サハラ砂漠では近年大量の隕石が発見されているが、その中には火星隕石や月隕石といった珍しい種類の隕石が比較的多く含まれているのが特徴である。本研究では、このような最近新しく見つかった隕石の1つで、外観的特徴から月隕石の可能性があるものを分析・分類した。さらに、その鉱物学的・岩石学的特徴から、この隕石の起源、および他の隕石との関係について考察を行った。 この隕石はミリメートルサイズの岩片とそれよりやや小さい鉱物破片が黒灰色の石基に埋まっている角レキ化した組織を示し、主要構成鉱物は斜長石、輝石、カンラン石である。岩片には、いくつかの種類のものが見られるが、特徴的なものとしては、オフィティックな玄武岩質のものやインターサータルな組織を示すもの(インパクトメルト)が含まれる。輝石の組成は、非常に幅広く、En81Fs16Wo3からEn2Fs78Wo20を経由して、En34Fs34Wo32に及んでいる。特に、オフィティックな玄武岩質の岩片中に見られる輝石は著しい化学的ゾーニングを示している。輝石のFe/Mn(重量%比)は、60から70である。カンラン石の組成は、Fa14からFa61の範囲であるが、大部分のものは、Fa16-40である。斜長石は、An成分に富んでおり、An91からAn98となっている。他に少量であるが、アパタイト、シリカ、鉄ニッケルのメタルなども含まれている。また、その他の鉱物学的特徴としては、輝石中に幅最大数マイクロメートルの離溶ラメラが観察された。 以上の鉱物学的・岩石学的研究の結果(特に輝石のFe/Mn比より)、この隕石は月起源だと考えられ、しかも月の高地の部分の物質と海の部分の物質の両方を含んでいることが分かった。分類としては、月起源角レキ岩である。また、他の月隕石との比較の結果によると、この隕石はYamato793274/981031、EET87521/96008、QUE94281と最もよく似ており、同じ月の部分からきた可能性がある。しかし、これらは、いずれも南極隕石であり、この隕石と地球への落下がペアとは考えられない。また、その他のサハラ砂漠産の月隕石に、この隕石とペアととなるものもこれまで見つかっていない。この隕石はまだ正式名が付いていないために、現在その作業を進めているところである。
著者
内田 慎一 藤森 淳 浦辺 徹郎 砂村 倫成 坪野 公夫 須藤 靖 三河内 岳 佐藤 哲爾 二宮 哲平
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース (ISSN:21873070)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.5-9, 2013-03

退職にあたって/内田慎一先生を送る/定年の今送る「手紙~拝啓十五の君へ~」/浦辺徹郎先生を送る/時代はまわる/坪野公夫先生を送る/宮本正道先生を送る/前へ!/定年後の8万時間