著者
竹内 瑞希 斎藤 トシ子
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.145-150, 2019 (Released:2019-02-28)
参考文献数
12

対象者に適切な栄養の指導を実施するためには、経験則や標準的なマニュアルのみに偏った手法ではなく、エビデンスに基づく栄養学を実践していく必要がある。しかしながら、エビデンスをどのように習得・有効活用しているかについては個人による差が大きく、エビデンスギャップへの対策についても十分とはいえない。当大学では2017年度より栄養学の知識データベースであり、エビデンスに基づく実践ガイダンスへの簡単なアクセスを提供するPEN(Practice-based Evidence in Nutrition)システムを導入し、学部教育や大学院教育に活用している。今回は、当大大学院を修了し臨床現場に勤務する管理栄養士にPENシステムを試験的に使用してもらい、PEN活用の有効性やエビデンスを得る上での要望について聞き取りを行った。その結果、PENはエビデンス習得方法の学習ツールとして有効である一方、研究を主体に専門性を深く極めている管理栄養士からは、日本のエビデンスや診療ガイドの情報量が不足している等の意見が挙がった。そのため、今後は日本全体の栄養や食に関する情報を集約・整備しPENに組み込むことができれば、全職域の管理栄養士・栄養士が円滑にエビデンスを入手・活用できることが示唆された。