著者
新保 みさ 串田 修 鈴木 志保子 中村 丁次 斎藤 トシ子
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.333-341, 2022 (Released:2022-06-01)
参考文献数
19

本研究では、日本栄養士会(栄養士会)の未入会者および栄養士会主催の研修会非参加者の特徴を調べることを目的に、2018年11~12月にインターネット上で横断的な自己記入式質問紙調査を行った。対象者は就業資格を必要とする15,133人だった。調査項目は属性、栄養士会入会有無と理由、栄養士会主催の研修会参加有無と理由とした。栄養士会の未入会者は入会者と比べて、年齢が低く、所有資格が栄養士のみで、最終学歴が大学、雇用形態が派遣や契約社員、勤続年数や年収が低い、勤務先が小・中学校、受託給食、保育所幼稚園等の者が多かった。未入会理由は会費が高いことや忙しい、栄養士会の活動を知らない等が多かった。研修会非参加者も参加者と比べて、未入会者と同様の特徴がみられた。研修会の非参加理由には、日程が合わないことを挙げる者が多かった。栄養士会の未入会者および研修会非参加者は年齢、雇用形態、勤続年数、年収、勤務先等に共通の特徴が見られた。
著者
串田 修 新保 みさ 鈴木 志保子 中村 丁次 斎藤 トシ子
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.581-588, 2021 (Released:2021-10-02)
参考文献数
33

本横断研究では、全国の管理栄養士と栄養士を対象に、基本属性、就業状況と職務満足度を把握し、両者の関連を検討することを目的とした。2018年11月にインターネット調査を実施し、就業資格を必要とする15,133人を解析対象者とした。基本属性では、性別・年齢・最終学歴・勤務地域・日本栄養士会の入会有無・研修会の参加回数を、就業状況では、所有資格・就業有無・就業資格・資格手当・優遇措置・雇用形態・実勤務先・勤務年数・年収を尋ねた。職務満足度は、5項目の尺度で評価した。尺度の得点を合計した結果、職務に満足している者は73.9%であった。職務満足度の高さには、年齢の高さ、大学等の卒業、勤務地域、日本栄養士会の入会、研修会の参加、管理栄養士の資格所有、昇給制度等の優遇措置、勤務年数や年収の多さ、勤務先が関係していた(全てp <0.05)。標本の代表性に課題があり、属性を限定した無作為抽出による追試も必要である。
著者
石澤 幸江 小熊 隆夫 今井 信行 斎藤 トシ子
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.501-506, 2022 (Released:2022-09-01)
参考文献数
28

丸呑み・早食い・詰込み食い等摂食嚥下に課題を有する統合失調症女性患者1人を対象に、管理栄養士が定期的な咀嚼練習に介入し、栄養状態、喫食に要した時間、咀嚼回数、食事満足度の変化を検証した。3カ月間、週3回、1回15分間の舌運動と食品を用いた咀嚼練習を昼食前に行い、開始時、4週目、8週目、12週目に各項目を測定した。栄養状態は、Alb値が開始時3.6g/dLから12週目には4.0g/dLへ、GNRIは90から96へと上昇した。喫食時間および咀嚼回数は開始時に比べ4週目には急激に増加し、それ以降の増加はほぼ横ばいであった。食事満足度は、聞き取り調査に変化は見られなかったが、食事中の表情(フェイス・スケール)は、開始時1点(無表情、口角が曲がる)から12週目は5点(笑顔、口角が上がる、口を開く)となった。統合失調症患者への咀嚼練習は、噛むことへの意識付け強化となり、喫食時間および咀嚼回数が増加したことで、栄養状態の改善につながった可能性がある。
著者
竹内 瑞希 斎藤 トシ子
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.145-150, 2019 (Released:2019-02-28)
参考文献数
12

対象者に適切な栄養の指導を実施するためには、経験則や標準的なマニュアルのみに偏った手法ではなく、エビデンスに基づく栄養学を実践していく必要がある。しかしながら、エビデンスをどのように習得・有効活用しているかについては個人による差が大きく、エビデンスギャップへの対策についても十分とはいえない。当大学では2017年度より栄養学の知識データベースであり、エビデンスに基づく実践ガイダンスへの簡単なアクセスを提供するPEN(Practice-based Evidence in Nutrition)システムを導入し、学部教育や大学院教育に活用している。今回は、当大大学院を修了し臨床現場に勤務する管理栄養士にPENシステムを試験的に使用してもらい、PEN活用の有効性やエビデンスを得る上での要望について聞き取りを行った。その結果、PENはエビデンス習得方法の学習ツールとして有効である一方、研究を主体に専門性を深く極めている管理栄養士からは、日本のエビデンスや診療ガイドの情報量が不足している等の意見が挙がった。そのため、今後は日本全体の栄養や食に関する情報を集約・整備しPENに組み込むことができれば、全職域の管理栄養士・栄養士が円滑にエビデンスを入手・活用できることが示唆された。
著者
入山 八江 串田 修 村山 伸子 斎藤 トシ子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.139-155, 2018-12-01 (Released:2019-01-21)
参考文献数
34
被引用文献数
2

【目的】社員食堂を通して減塩に関する食環境と栄養教育を併用した介入を1年間実施し,勤労者の食塩摂取量の変化と,行動変容の要因に及ぼす効果を明らかにする。【方法】研究デザインは,施設単位の無作為化比較試験である。8施設を施設単位で環境教育群,環境群,対照群の3群に振分けた。社員食堂にトランスセオレティカルモデルに基づく健康情報を載せた卓上メモと滴下型醤油差しを設置し,また,調理従事者にみそ汁と麺つゆの食塩濃度を,初回の濃度を基準に1年かけて徐々に減らすよう指示した群を環境群とした。環境群の介入に加えて,栄養教育を年4~6回実施した群を環境教育群とした。解析対象者は男性216人,女性161人であった。食塩摂取量は簡易型自記式食事歴法質問票から推定した。行動変容ステージ及びその他の要因を自記式質問票で調べた。【結果】食塩摂取量は,女性の環境教育群においては1年間で平均 0.4 g/1,000 kcal有意に減少し対照群との間に群間差が認められた。食塩摂取量が減少した要因として,女性は醤油,調味食塩の減少に加えて,食態度(減塩の意識),情報・食物へのアクセスが有意に向上し,男性では,食塩摂取量の変化はみられなかったが,前後比較において環境群の行動変容ステージが有意に前進した。【結論】減塩には,食環境介入に栄養教育を加えることが女性勤労者で有効であると示唆された。
著者
中村 和利 土屋 康雄 斎藤 トシ子
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、閉経後女性の骨密度低下抑制に有効なカルシウム付加量を明らかにすることであった。女性ボランティア450人を1)カルシウム250mg、2)カルシウム500mg、3)プラセボを毎日服用する群、の3群に割付け、2年間の腰椎および大腿骨頸部骨密度の低下を3群間で比較した。カルシウム250mg/日および500mg/日付加群の腰椎骨密度の低下がプラセボ群より有意に小さかった。カルシウム250mg/日の摂取増加は腰椎の骨密度の低下を遅らせる。