著者
竹内 翔子 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.173-182, 2014 (Released:2015-05-30)
参考文献数
16
被引用文献数
5 4

目 的 妊娠中の会陰マッサージに対する女性の認識と実施の阻害因子を探索すること。方 法 首都圏の産科を有する医療施設8ヶ所において,妊娠37週0日以降の単胎児を経膣分娩した女性390名を対象に,質問紙を配布した。有効回答が得られた334名(85.6%)のデータを用いて,統計学的に分析した。結 果1.会陰マッサージを実施した女性は114名(52.1%),実施しなかった女性は105名(47.9%)であり,実施した女性のうち出産まで継続できたのは68名(59.6%)であった。また実施しなかった女性の45.7%が自分の会陰を触ることに抵抗を感じていた。2.会陰マッサージに関する情報源について,会陰マッサージ実施の有無を比較すると,実施した女性の割合が有意に大きかったのは「助産師による個別指導」のみであり(p=.000),実施しなかった女性の割合が有意に大きかったのは,「母親学級」であった(p=.000)。3.会陰マッサージの方法について,方法を知っている女性の半数以上が難しさを感じていたのは「指の動かし方」や「力加減」,「指の挿入の深さ」,「マッサージの実施時間」であり,マッサージを途中でやめてしまった女性は出産まで継続できた女性よりも難しさを感じていた(p=.012)。4.会陰マッサージの効果について,会陰マッサージを継続できた女性は途中でやめた女性に比べて,【出産準備への効果】および【出産時への効果】を有意に感じていた(p=.000)。5.出産に対する自己効力感について,初産婦では会陰マッサージを行っていた女性は行っていない女性よりも【自分らしいお産】に対する自己効力感が有意に高かった(p=.014)。結 論 会陰マッサージの実施を阻害する因子として,会陰部を触ることに対する抵抗感や知識不足,実施中の困難感が挙がった。また会陰マッサージはその効果を実感するためには継続することが重要であり,医療者は出産まで会陰マッサージを継続できるようサポートしていく必要がある。
著者
竹内 翔子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.936-937, 2018-12-25

Research Question 妊娠中の会陰マッサージは,分娩時の会陰裂傷のリスクを減少させるのか,させないのか。 Answer 初産婦が妊娠34週以降に会陰マッサージを実施した場合,実施しなかった場合と比較して縫合が必要な会陰損傷や会陰切開のリスクが減少した。経産婦においては,会陰損傷のリスクは減少しなかったものの,会陰マッサージを実施したほうが産後3か月の時点での会陰部の痛みが少なかった。さらに1週間あたりの会陰マッサージの回数別で比較した結果,1.5回/週未満の場合のみ縫合が必要な会陰損傷や会陰切開のリスクが減少した。 このレビューの結論では,妊娠中の会陰マッサージは会陰損傷(特に会陰切開)のリスクの減少や会陰部の痛みに効果があり,女性の受け入れも良好であるため,利点や具体的な方法を妊娠中の女性に提供するべきとしている。