著者
竹口 祐二 鈴木 聡士
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.22-00074, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
18

近年,我が国では高齢者の運転免許自主返納者が増加している.さらに,地方部では公共交通の衰退や生活施設の統廃合が著しく,高齢者にとって移動手段の確保は生活の質や定住性の確保に関わる深刻な問題となっている.そこで本研究では,徒歩,運転,被送迎,公共交通の選択可否に着目したカテゴライズを行い,外出状況,主観的健康感,主観的幸福感,定住意向といったQOL(Quality of Life)に関する評価指標の属性差異を分析した.さらに,分析の結果,主観的幸福感の低かった運転依存群を対象にその要因分析を行った他,クラスター分析を活用して移動手段属性と転出可能性との関係性を考察した.これらの分析から,地方部の高齢者のQOL向上や定住性確保に向けて,移動手段確保の重要性とその施策方向性検討に関する示唆を得た点が本研究の特長である.