- 著者
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竹安 邦夫
竹安 邦夫
KRISHNA Sanj
MEAD John C.
BAUMANN Otto
FAMOROUGH Do
佐藤 雅彦
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1998
最近「各種オルガネラや生体膜の構築・機能分化に必ず膜ATPaseが関与していること」が世界的に確立されてきた。遺伝子クローニングにより、リン脂質フリッパーゼ、生体異物排出ポンプ、重金属イオンポンプ等の新しいタイプの膜ATPaseが無脊椎動物で次々と同定され、次いで脊椎動物においてもその存在が確認されだした。更に、これら膜ATPaseの発現・機能障害は、ヒトにおいては重篤な疾病の原因となることも判明した。本研究では、これら膜ATPaseの原点である無脊椎動物に焦点をあて、新しいタイプの膜ATPaseを探索し、それら膜ATPaseの機能・発現調節機構を分子・細胞レベルで解明することを目的とした。1.Baumann(ポツダム大学)との共同研究により、ショウジョウバエの光受容細胞(視細胞)におけるNa/K-ATPaseの局在・細胞骨格(例えば、スペクトリン、アンキリン等)との関連を共焦点レーザー顕微鏡、免疫電子顕微鏡等を用いて明らかにした(1999年度米国細胞生物学会において発表;Yasuhara et al.,Cell Tissue Res.,印刷中)。2.全P-型ATPaseを線虫(C.elegans)およびショウジョウバエ(D.melanogaster)においてクローニングし、C.elegansでは20種のαサブユニットと3種のβサブユニットが、D.melanogasterでは14種のαサブユニットと6種のβサブユニットが存在することを示し、それぞれの染色体上での位置を決定した(1999年度第9回Na/K-ATPase国際会議で発表;Yasuhara et al.,The Na/K-ATPase and related ATPases,Elsevier,印刷中)。3.上記で得たアミノ酸配列をもとに系統樹解析を行い、ウアバイン感受性とβサブユニットとの会合能を持たないNa/K-ATPaseとH/K-ATPaseとの共通祖先型ATPaseが存在することを明らかにした。また、これらのことから、ウアバイン感受性とβサブユニットとの会合能の起源が明らかとなった(Yasuhara et al.,投稿準備中)。Krishna(ロンドン大学)との共同研究により、マラリアにおいて全P-型ATPaseをクローニンングした。それらのアミノ酸配列に基づいて、新型ATPaseの系統関係を明らかにした(1999年度第9回Na/K-ATPase国際会議で発表予定;Krishna et al.,The Na/K-ATPase and related ATPase,Elsevier,印刷中)。