著者
竹尾 隆浩 松本 伸示
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.1-10, 2005-09-20 (Released:2018-05-08)

本研究は,Ryan & Deciの外発的動機づけを段階的なものとするとらえ方に着目し,総合的な学習の課題設定場面における動機づけについて事例研究を通して検討を試みたものである。動機づけにおいて重要とされる自己決定の認識を中心に,「学習者中心の本質的特徴は,学習内容に関する決定を自らが行うこと,すなわち自己決定することである」という立場から,総合的な学習の授業実践を質的に分析した。その結果,興味や関心,問題意識の高まりなくして自己決定はありえないということ,また,自己決定を生かす大切な要因として,共に学ぶ友達の存在の重要さが示唆された。そして,自己決定を阻害する要因として,課題と学習方法の同一視,不安や焦りの解消,友達への追従が確認された。